陰暦12月の満月の夜に発祥するローイクラトン(灯籠流し)は、水の女神に感謝の祈りを捧げ、自らの心や身体の穢れを洗い清めるための伝統行事である。
近年、某新興仏教団体が資金集めのために始めた無節操な「大量コムローイ(熱気球式紙風船)揚げ」が他にも伝染して、コムローイ祭りなどという笑止な呼称で多くの観光客を集めているが、その入場料がタイ人が眉をしかめるほどに法外なものであることを認識しているツーリストは少ない。
ローイクラトンという本来の祭りにとって、コムローイ揚げは爆竹や花火と同様に祭りを賑やかす添え物に過ぎず、紙風船そのものはそこいらの雑貨屋などで100バーツ程度で買える代物だ。
時期もローイクラトンに限ったわけでなく、それぞれの祈願や祝い事の折り折りに、家族や仲間と共に思い思いに揚げる習わしだった。
そんな代物を、いくら伝統の踊りや料理がセットになっているとはいえ、5,000バーツ前後のチケットを売り出して観光客を一カ所に集め、その集合美でもって目をくらます詐欺まがいの商法横行に疑問を呈するタイ人は数多い。
それへの抗議表明の一環として、有料会場の周囲に無料の観覧席を勝手に確保して無料見物を楽しむタイ人(日本人も?)も増えて来た。
昨夜、スマホ専用アカウントで紹介したドーイサケット池ほとりでの入場料無しの試みもその一つだ。
といったような背景を知った上で、この美しい伝統行事を楽しむ人が増えれば、チェンマイに暮らすタイ人たちも大いに喜ぶことだろう。
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