彼女との出会いは、衝撃的だった。
私がドアや窓を開け放ってベッドの上で寝転んでいると、いつの間にか蚊除けの網ドアをあけて部屋に忍び込んで込んできたのである。
そして、ベッドの上にすっと上がり込んで、妖艶な微笑みを浮かべながら私の横に寝そべった・・・。
*
おい、おい、おい。
いくらなんでも、それは大胆過ぎやしないかい。
すでに何度か顔を合わせたといっても、まだ、ろくに話も交わしていないじゃないか。
おいらは、体よりも心を優先するタイプなんだ。
それに、いくらクンター(爺様)だからといっても、まだまだ現役(見栄です、見栄)。
いつなんどき、狼に変身するかも知れないのだぞお。
*
そんな爺様の内心の焦りと狼狽を尻目に、彼女は無邪気な顔で脇に転がっていた計算機を手にとると、嬉々として数字のキーを叩き始めた。
ソーラー式であるからして、薄暗い部屋の中では数字は表示されない。
だが、彼女はなにやらタイ語でひとりごとを言いながら、無心になってキーを叩く手を休めない。
おそらく、ゲームでもやっているような気分になっているのだろうか。
そして、しばらくすると飽きてしまったのか、ふいと部屋を出て行った。
ああ、女はいつも気まぐれだあ。
*
次に私の部屋に忍び込んで来たとき、彼女の興味は電子辞書に向けられた。
そして、勝手にいじくり回して表示された英語と日本語訳を眺めると「ああ、きれい、きれい」と言いながら、さらに激しくキーボードを叩き始めた。
おい、おい、おい。
計算機はともかく、愛用の電子辞書をぶっ壊されてはたまらない。
「これは仕事用だから、遊んじゃ駄目なんだよ」
そういうと彼女は素直に頷いて、すっと部屋を出て行った。
*
3度目の訪問は、お土産持参だった。
チョコレートミルクの小さなパックを2個、そしてクッキー数個。
どうしたのかと思えば、「二人で食べよう」といって床に座り込む。
ああ、愛らしいなあ。
もしかして、親友のウイワットが描いてくれた「幸運の女神」(副題:新しい女性との新しい出発)とは、この彼女のことだったのだろうか。
だが、冷静に考えてみると、こんなシーンを誰かに見られたら、「超・年の差恋愛」、もしくは「変態爺い」などと指弾されかねないぞお。
いくらタイだからと言って、おそらく60歳を超えるだろう年齢差は死刑に値する(たぶん)。
*
とりあえず、彼女の保護者に声をかけておこうか。
そう思っているところへ、ちょうど電話がかかってきた。
部屋の外で話し始めると、それを聞きつけたのか、彼女の母親の呼び声が聞こえた。
「こら、こら。クンターの邪魔をしちゃいけないよ。早く戻って、勉強しなさい」
すると彼女は跳ねるように飛び出してゆき、自分の家の前にあるタイルにノートを広げ、腹這いになって鉛筆でなにやら計算を始めた。
*
やれやれ。
ひと安心して部屋に戻ると、いつの間にか電子辞書のカバーが開いている。
ははあ、彼女、本当の目的は爺様とのデートなんぞではなく、ミルクとクッキーを餌に、電子辞書遊びを許してもらおうという魂胆だったのかなあ。
*
私の新しいガールフレンドの名前は、ノンフォーというらしい。
何度正しい発音を訊いても、なぜかまともには教えてくれない。
年齢を訊いても、じらすように知らない素振りだ。
ふーむ。
女は、いつも謎に満ちている。
そして、その時点での私は、以降、私のパソコンに興味を移した彼女に、まるでストーカーのようにつきまとわれ、勝手に触られる(パソコンにですぞ)などの被害にあうなどとは、夢想だにしなかったのだった。
いやはや。
※昨日の記事で取り上げた新進ピアニストの高木直樹さんは、「チェンマイ・ヒナステラ国際音楽祭コンクール」で第二位の栄誉に輝いた。同時に、昨年に続き2年連続のヒナステラ特別賞を受賞した。
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