チェンマイで悠々として急げ!

カレン族の村から迷い出たクンター(爺様)のよれよれ、とぼとぼ「再生記」

カテゴリ: 新たなる出会い

車椅子

 いやあ、また再びゲスト紹介ができるとは、夢にも思わなかったなあ。

 しかも、このゲスト、ブログにもってこいの「悲惨なお笑いネタ(失礼!)」を提供してくれた上に、なおかつ、その公開を積極的に許してくれたのだから、こんなにありがたいことはない。

 爺様も久々に「現役番頭さん」の心に戻って、いそいそと元ゲストのお世話を楽しんだのであった。

     *

 その懐かしい人は、番頭さんが隠遁生活を送る「隠れ里」からちょっと離れた市街地の中心部に、とんでもない姿で現れた。

 なんと、左の足首に日本手拭を巻き付け、びっこ(これ、官僚からすると差別語であるらしい)を引きつつ歩み寄ってきたのである。

 あちゃ〜!

 やっぱり、かなりの重症だったのだなあ。

     *

 「事件」は、その前夜に勃発した。

 非情にも新婚ホヤホヤの愛しき旦那様を放り出し、一ヶ月に及ぶミャンマーへの一人旅を敢行して、ようやく無事チェンマイに辿りついたその翌日。

 この「非情の人」は、友と共にナイトバザールに遊びに出たその5分後、突如として「迂闊の人」に転生した。

 生理的欲求に堪え切れず、暗闇の中の迷路を突進して段差に蹴つまづき、転倒しながら左足首のあたりから「ブチッ」という何かが切れるような音を、確かに聞いたのだった。

 つまり、こけちゃって、やっちゃったのですなあ。

 たぶん、捻挫・・・。

     *

 この「迂闊の人」の迂闊たるゆえんは、その後の行動に明らかだ。

「すぐにアパートに戻って、冷やした方がいい」という番頭さんの指示にも関わらず、久々に会った友に気兼ねして(だかどうか)、そのままナイトライフを楽しんじゃったのである。

 その様子は、Facebook上のチャットで逐次報告されて来たのだが、いつまで経ってもなかなか帰ろうとしない。

 こ、こらあ!

 そのたびに、番頭さん、ハラハラ、イライラ。

 おや、まだ外に居るのか・・・。

 まったく、もう・・・。

 おお、やっと帰ったか・・・。

 やれやれ、ふう。

     *

 さて、一夜が明けて。

 様子を訊くと、まともに歩けないらしい。

 だから、言ったでしょ、まったく、もう、ブツブツブツ・・・。

 番頭さん、この日は用事があって街に出る予定だ。

 タイミングとしては、非情に、もとい、非常によろしい。

 用事が済み次第、ただちに救援に向かう事にした。

 そして、冒頭に書いたような「とんでもない姿」での再会と相成った次第。

     *

 時刻は、ちょうど昼前。

 そのまま病院に向かい、午後一番の予約をするのかと思いきや、それはカード付帯海外傷害保険適用確認の電話の際に済ましてあるという。

「それよりも、おなかがぺこぺこです!」

 訊けば、まともに歩けないので朝から何も食べていないのだそうな。

 そこで、相棒が「ナンバーワン」と連呼するさる某有名カオソーイ専門店に直行することになったのだが、そこにおける「迂闊の人」の幸せそうな笑顔は、この稿の悲惨(?)な状況にはマッチしない。

 それはまた、明日にでも書くとして、そのまま病院へと話を運ぼう。

    *

 午後1時過ぎに着いたのは、かつて番頭さんも治療を受けた事のある有名な私立病院だ。

 これは、保険会社による選択らしい。

 ほぼ10年ぶりに訪れた番頭さん、1階フロアの様変わりに茫然となった。

 やけに親切な女性スタッフたちの世話で書類に記入していると、通訳係の日本人女性がやって来た。

 やれやれ、これで番頭さんはお役御免だ。

 うまいカオソーイを食べて、今や「幸せの人」となった彼女は、次に「車椅子の人」となってスタッフに押されながら外科待合室に向かった。

    *

 やけに、待ち時間が長い。

 午後3時頃になって、ようやく診察と治療が終わった。

 だが、彼女の顔にはなぜか疲れが見えない(その理由はのちに明らかになる)。

 左足首が、補助具でがっちりと固定されている。

 足は相当に腫れて、鬱血しているようだ。

 ああ、痛々しい。

 チェンマイを楽しもうとした矢先に、気の毒なことになったものだ。

足首固定


 訊けば、レントゲン撮影で骨に異常はなく足首の小さな腱の一部が微小な断裂を起こしたらしい。

 つまり、軽度の捻挫であろう。

 それでも、全治3週間。

 なんと、松葉杖も用意されている。

 しかし、彼女の表情は明るい。

 というか、ニコニコ顔なのである。

ウイワットバック


 若い担当医師が、まるで映画俳優のようにすらりと背が高く、超ハンサムだったのだそうな。

「別に再診の必要はなさそうだけど、彼に会いにまた来ようかな」

 こらこら、何を考えているんだあ!

     *

 これで終了かと思いきや、「満面笑顔の車椅子の人」はスタッフにの手によって上階のリハビリ室に連行されて行った。

 サイドバーを使って足の位置や運びを練習すると、実際に松葉杖を使っての歩行訓練だ。

松葉杖


 二人のスタッフが甲斐甲斐しく付き添って、両側からがっちりガードする。

 亡き妻が30代初めに頸椎損傷を負ったために、番頭さん、リハビリには詳しいのだが、こんな光景、日本の病院では見たことがない(もっとも、10数年前の話ではあるけれど)。

 ご丁寧に、昇降練習用の階段まで設けてある。

 傍目で見ていても、下りはかなり怖そうだ。

「一歩歩くたびに、スタッフが上手、上手と褒めてくれるんです。まるで、赤ちゃんになったみたいで嬉しいな」

 全治3週間の「松葉杖の人」は、この海外での悲惨な体験をむしろ楽しんでいる様子だ。

 いい根性してるなあ。

     *

 最後に、痛み止めと湿布薬を受け取るために受け付けカウンター前で待つ。

 番号を呼ばれて彼女が自分で車椅子を動かそうとすると、すぐに制止の声がかかり、付き添いのスタッフがやってきた。
 
 至れり尽くせりのサービスである。

 しかし、そのあとがいけない。

 どういうわけか、すでに受け取っている松葉杖がもうワンセット、彼女のために用意されたのだ。

 そうして、スタッフが受付カウンターに立てかけたその松葉杖が倒れて、彼女の古傷のある右ひざを直撃した。

「ああ、痛かったあ! あの瞬間は、捻挫した足首よりももっと痛かったですよお」

 やっぱり、ここは噂のタイランドなのである。

 ナッケー!(カレン語で困ったもんだ)

     *

 午後4時、すべてが終了した。

 それにしても、3時間は長いぞお。

 前夜、一睡もしていない番頭さんなぞ、椅子の上で何度も舟を漕いだくらいだ。

 領収証に記載された金額は、およそ6,300バーツ。

 支払いは、ゼロ。

 保険がなければ、旅人にとっては大変な負担になるところだった。

 相棒がクルマを玄関口に回すと、またもや二人のスタッフがやってきて、うやうやしく彼女の乗車を手伝ってくれる。

「まるで、女王様みた〜い!」

 彼女の胸の中で、映画俳優のような若いハンサム医師との再会への夢が、さらに大きく膨らんでいったことは言うまでもない。

 ・・・かどうかは、番頭さんは知らない。

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th_ど正面

 いやあ、参った。

 昨夜は、睡眠薬ではない別のおいしいお薬を少しばかりたしなんで、午後11時にベッドに入ったのだけれど。

 何度も寝返りと溜め息を繰り返したあげく、零時半になっても眠る事ができない。

 とうとう諦めて起き出し、この記事を書く羽目になってしまったという次第。

     *

 本来なら本を読みたいところだが、村を去るときにいつでも戦闘態勢(?)に入れるよう、小さなデイバッグに詰めたのはたった一冊の文庫本だけだった。

 それも、野口英世の苛烈な生涯を描いた『遠き落日』(渡辺淳二著)2分冊のうち上巻だけという間抜け振り。

 これにはれっきとした理由もあるのだけれど、いま思い返しても腹が煮えくり返ってくるから、詳しくは書かない。

 もっとも、すでに手持ちの蔵書はすべて読み尽くして、再読、再々読、再々再読という状態だったから、さほどの未練はない。

 だが、この爺様、生まれついての活字中毒症状患者であるからして、本のない日常は椎名誠風に言えば「悶え苦しむ地獄の味噌蔵(?)」という症状を呈する。

 ええい、読めなければ、自分で面白い記事を書けばいいではないか!

 このヤケクソ気味の開き直りが、新ブログ開設以来、長めの記事を連日書き続けるエネルギーになっているのかも知れない。

     *

 さて、本題に入ろう。

 一昨日に書いた「天国のような奇蹟」という記事で冒頭を飾り、これまでになかったほどの「いいね」スタンプを頂戴した愛らしいポメラニアンの話題である。

th_愛らしい


 名前はシィリーという。

 あ、その意味は聞き忘れてしまったわいなあ(あとで訊くことにしよう)。

 この犬、実は昨日の記事「ネコも疑う驚愕の新事実」に登場した妙齢の美女の愛人、もとい愛犬なのである。

 愛らしくつぶらな漆黒の瞳。

 食べちゃいたいくらいに綺麗で、小さな小さなピンク色の舌。

 全身を覆う純白の体毛。

 そして、思わず微笑を誘う短めの足。

 初めて見たときには、「生きたぬいぐるみ」かと思うほどにムクムク、コロコロとしたその姿は、決死の大脱走(?)に疲れ果て、ささくれ立った爺様の心を一瞬にしてトロトロにとろけさせてくれたのである。

     *

 駄犬ラッキーを筆頭とするウチの3匹のバカ犬どもとは違って、無駄吠えは一切しない。

 いや、そういえば彼女が吠えたところを見た事がないほどに静かである。

 そして、隣家の阿呆犬どもがキャンキャン、ワンワン吠えたてて喧嘩を始めても、彼女は一切それに関わらず、距離を置いて黙って眺めているだけなのである。

 敷地内からも、滅多に出ることがない。

 用足しと玄関まわりの警備巡回以外にはほとんど敷地内にとどまり、しっかりと自分の領土を守っている。

 おそらく、犬の世界では相当の威厳を漂わせているのだろう。

 隣家の犬や近隣の犬が、敷地内に近づいたり、入って来る隙などはまったくないのである。

     *

 そんな彼女の唯一の欠点が、太り過ぎである。

 主食は市販のドッグフードだそうだが、私はまだ彼女が餌を食べているところを見たことがない。

 豚の骨やスープなど、残り物にも興味を示さない。

 鶏の骨でも、水牛の骨でも、なんでかんでも時間を構わず、ひたすら意地汚く喰らい尽くすウチのバカ犬どもと較べると、月とスッポンである。

 どだい人間の、もとい、犬の格が違うのである。

 それなのに、どうしてこんなに太っているのか?

 愛らし過ぎる顔貌と異なり、その全身を上から俯瞰すると、まるでタレパンダならぬ「タレ狸」の化身のように見えるから、思わず笑ってしまう。

th_タレたぬき


 すでに4歳で、人間で言えばお年頃なのである。

 もうちっと、ダイエットせねばなるまいなあ。

 近所の噂によれば、飼い主に似たのだという説がもっとも有力らしいが、それはプライバシーに触れる個人情報であるからして、論評は避けよう。

     *

 昨日のことだが、そのシィリーがとんでもない天才振りを発揮した。

 朝方、飼い主が短パンのポケットに入れていた1,000バーツ札をどこかに落としてしまったのである。

 家中が大騒ぎになったが、どこにも見つからない。

 捜索に疲れ果て、やむなく諦めかかったちょうどその時。

 飼い主の娘が、シィリーの犬小屋の前に1,000バーツを発見した。

「なあんだ、こんなところに落ちていたのかあ」

 飼い主と家族は、ホッと胸をなでおろして、この騒動は幕をおろそうとした。

     *

 ところが、直後に近所の人が家に駆け込んで来た。

「今さっき、あんたんとこの犬がお札みたいなものをくわえて、トコトコ家の方に走っていったんだけど、あれ、ひょっとして、本物のお札だったんじゃない?」

 ええっ!?

 嘘〜!

 しかも、そのシーンを目撃した近所の人は、他にもいっぱいいるのだそうな。

 ドヒャ〜ッ!

 またもや、大騒ぎになった。

 その1,000バーツ札をよくよく調べてみると、歯形はおろか、傷も汚れも破れた痕も、唾液の形跡すらも一切見つけられなかったという。

 つまり、飼い主がポケットから落としたままの状態で犬小屋の前で発見されたわけである。

 つまりである。

 (ああ、なんだかドキドキしてきたなあ)

 そこのあなた、心の準備はいいですか?

 オホン。

 では、僭越ながら。

 かの有名なポワロ探偵とは異なるピンク色の脳細胞の持ち主であるところのこの爺様探偵が、この事件の謎解きを始めます。

横顔ピンぼけ


 1,000バーツの紛失で、家中みんなが大騒ぎしていたその時刻。

 家まわりの警備巡回の途中でお札についた飼い主の匂いを嗅ぎつけたシィリーは、そこへトコトコと走り寄り。

 歯形や唾液がつかないように慎重に配慮したのかどうかは知らないが・・・。

 舌と唇を使ってすくいあげるように道路に落ちたお札を拾い上げ、そっと唇の間に挟み込み。

 そのまま、まっしぐらに自分の犬小屋まで戻って来た。

 という推理が成り立つわけですなあ。

 いや、あらゆる状況証拠を掻き集め、冷徹に分析すれば、まさしく、それこそが「事件」の真相であったことは間違いないだろう。

    *

 いやあ、それにしてもシィリーの脳力は並外れている。

 天才、と呼んでも過言ではないだろう。

 日本からはるばると届けられた重要な書類を、私たちが留守している間にズダボロに咬みちぎり、咬み裂いたウチのバカ犬ラッキーに、その爪の垢を飲ませたいくらいである。

 よしよし、シィリー。

 ご褒美は何がいい?

 あ、そうだ!

 首輪と引き綱がいいね。

 そうして、太り過ぎ防止のために、この爺様と一緒に朝のウオーキングを楽しもうよ。

 え? 

 アタシは、あの「名犬ラッシー」とは違って頭脳派だから、肉体派の好む下等なエクササイズなんか嫌いだ?

 ウヘッ。

 お前、ますます太るぞお!

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屋根の上のネコ1

 昨日の記事「天国のような奇蹟」で書いた隠れ家の電気代と水道代についての哲学的再考察である。

 タイに関心を寄せる読者の多くは、思わず眉に唾をつけたのではあるまいか。

 なにせ、ここ10数年間タイで暮らしてきた私自身でさえ、自分の頬っぺたをギュッとつねったくらいなのだから。

 信じられないのも、無理はない。

      *

 なにせ、電気代10バーツ、水道代20バーツで総計30バーツなのだからなあ。

 一人の読者が我がFacebookにコメントを寄せてくれたように、これじゃあ、ビール1本も買えやしないのである。

 現に、口の悪い友人の一人などは、「お前さん、記事を面白くする為に話を作っているんじゃないか」などと、やっかみ半分のメールを送りつけてきたくらいなのである。

 しかし、私は決して嘘は申しません。

 以下に、動かぬ証拠を開示すると共に、さらに発覚した驚愕の新事実を明らかにすることとしよう。

     *

 昨日の晩飯どき、大家の姪っ子さんが部屋代の領収書なるものを届けに来てくれた。

 はあ?

 領収証?

 まさか、こんなボロ家で(失礼!)そんなありがたいものを貰えるなんて夢にも思っていなかった私は、ひたすら恐縮した。

 ところが、その麗しき姪っ子様は、さらに私に一歩近づくと、まるで白魚のような指の右手をそっと差し伸べたのである。

 え?

 なに、この唐突なシチュエーション?

 まさか、新たなる誘惑?

     *

 んなこと、あるわきゃないのだが、すっかり逆上した爺様、思わずその手を握りしめようとした。

 そして、ハッと気がついた。

 彼女の紅葉のような(おいおい、白魚じゃなかったのかい)掌の上に、なんと真珠のようにきらめく3枚の1バーツ硬貨を認めたのである。

 はあ?

 混乱した爺様は、訳も分からずに彼女に右手を差し伸べ、茫然としながらその3枚の1バーツ硬貨を掌で受け止めた。
 
 硬貨には、彼女のかすかなぬくもりが感じられた。

 ふわん。

     *

 うっとりするような残り香を漂わせて、麗しき人が名残り惜しげに去ったあとで。

 爺さまは、彼女の残り香が薫る(しつこいなあ)くだんの領収書に、ウットリと眺め入った。

 そして、のけ反った。

 ガ、ガーン!

 そこにはなんと、朝方の衝撃に勝るとも劣らない驚愕の真実が隠されていたのであった。
領収証

 興奮のあまり混乱した話を整理すると、こういうことになる。

 昨日の朝方、大家さんが私に伝えた電気代10バーツは、実はたったの6バーツだったのである。

 そして、20バーツと言った水道代の方は、実は21バーツだったのである。

 従って、部屋代を含めたその合計額は、先進高度数学に基づいて算出すると、実は1,627バーツだったという形而上的な解となるのであるのである。

 皆さん、私の難解な数学理論について来れますかあ?

      *

 さて、朝方に大家さんを訪ねた際、この爺様はすでに1,630バーツを支払い済みだ。

 であるからして、領収書製作担当の姪っ子様は、厳密なるダブルチェックによって精密なる支払額を導き出し、私に対する誠の愛をつらぬくためにも、意を決して3バーツのお釣りを戻しにきてくれたということになる。

 私は人知れず、一筋の涙をそっと流した。

 この無心の愛に支えられた献身に感動せずして、あなたは一体、何に感動するというのだろうか?

 言ってみなさいよ、え?

 どうだ、どうなんだ?

 え?

     *

 ああ、今日はすっかり興奮のし続けで、自分でも何がなんだか分からなくなってきたわいなあ。

 火照った顔を冷ますべく、早朝の冷涼な空気を吸いに外に出ると、屋根の上の野良ネコまでが私を疑わしそうな顔で見つめている。

 しかも、合計3匹である(逃げるとまずいから超望遠を使ったらピンぼけだ)。
屋根の上のネコ2

 本当だってばあ。

 私は嘘は申しません。

 どこかの誰かさんみたいに、領収証の偽造なんて、決してやっておりませんよお。

 だって、ワタシ、タイ語が書けないんだも〜ん。

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シリー
 
 山奥の村を去ってから、ちょうど1ヶ月が過ぎた。

 あっという間に、しかし、実にたくさんの水が橋の下を流れていった。

 まるで、大増水した秋の長良川を、激流に翻弄されながら小さなカヤックで下るような、もみくちゃ、ハチャメチャなトライアルの連続であった。

 やれやれ、ふう〜。

     *

 いくつもの嬉しい再会があった。

 哀し過ぎる別れもあった。

 あれがあり、これがあり、ウロウロ、トボトボしているうちに、いつの間にやら新しい暮らしの形ができあがりつつあるような・・・。

 貧しくとも、解放感に満ちた時間と空間が、あたりには流れ、かつ広がっている。

 まだ、極度な不眠症を引きずってはいるものの、いずれ、

「♪そ〜のうち何とか、な〜るだろう〜♪」(by 植木等)

     *

 さて、サバイバルのためには飯も食わねばならぬし、夜露もしのがねばならぬ。

 そこで、まずは今月も寝場所を確保するために、大家の家を訪ねた。

 先月分の電気代と水道代を確認し、部屋代を払うためである。

 その値段次第では、今後の飯の質も変わってくる。

 ドキドキしながら、声をかけた。

「ああ、クンター、いらっしゃい! ちょっと、待ってね。ええと・・・。
 そうそう、電気代が10バーツ、水道代はちょっと高くて20バーツだね、ごめんよ」

 はあ?

     *

 ちょっと、ちょっと、大家さん!

 いくらなんでも、そりゃあないでしょう。

 あんた、僕より4つも年下でしょ?

 桁を間違えていない、桁を!?

 ちゃんと、老眼鏡のピントを合わせてよね。

 それとも、僕と同じで頭のネジが緩んできたのかい?

     *

 頭の中で喚きながら茫然と佇んでいると、彼女はケロリとしてこう言った。

「うん、合計30バーツに間違いないね。はいはい、ああ、ありがとう。確かに受け取りましたよ」

 部屋代1,600バーツ(1万6,000バーツではありません)も21世紀最大の奇蹟ではあるが、この総計30バーツは、一体なんと呼ぶべきか?

 ビッグバンにも相当する大衝撃であった。

     *

 へいへい、確かにわが部屋にはなんにもありませんよお。

 なにせ、身の回り品だけをまとめて飛び出して来たのだから、ないったら、ない。

 な〜んにも、ありゃしない。

 最初にとりあえず買ったのは、枕と掛け布団とベッドカバーと簡単な食器、石鹸、歯ブラシ等々。
 
 これだって、総計1,000バーツ以下なのである。

 豪華家電品となると、月632バーツのWi-Fiルーター、279バーツで購入した小型扇風機だけだ。

     *

 電気を食うものといえば、この二つとパソコンおよび携帯の充電だけなのである。

 それにしても、これだけ使って、本当に10バーツでいいのかあ?

 水道代は村の値段と同じだが、電気代はなんと村の40分の1。

 うへえ、参ったなあ。

 ここは、天国か?

     *

 ひょっとして、おいら、すでに死んじまったのかなあ?

 頭の中で、ザ・フォーク・クルセダーズが大ヒットさせた迷曲「帰って来たヨッパライ」のワンフレーズが鳴り響く。

「♪オラは死んじまっただ〜♪」

※曲の無料視聴はこちらから。
 https://www.uta-net.com/movie/1240/(コピー&ペーストで検索)

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お札の花

 夜空には、ほぼ満月に近い白い月が煌煌と輝いている。

 昨日21日は満月前夜。

 コムローイ(熱気球式紙風船)で有名になったローイクラトン(灯籠流し・イーペン祭)は、毎年陰暦12月の満月の夜に行われるしきたりだ。

     *

 今年の場合は、今日22日の満月の夜を前後にはさんでの3日間が行事化されているから、昨夜はいわゆる前夜祭に当った。

 近所の家々の玄関口には色とりどりの提灯が飾られ、今夜のろうそく点火を待っている。

 遠くから、花火の爆音が響いてきた。

 市街地では、すでにお祭り騒ぎが始まっているのだろうか。

     *

 これに先立って、私の隠れ家のある郊外の村ではタンブン祭が行われた。

 タンブンとは功徳、寄進などと訳され、一般的にはお寺や僧侶に対する喜捨のことをさす。

 通常はお札を入れた封筒、食物、市販のタンブンセットなどが喜捨されるわけだが、続々と辻の角にある集会所に集まって来た人々が抱えてきたのは、なんと山のような「お札の花束」である。
札と人

 この方式では、割った竹の先に大は1,000バーツから小は20バーツまで、色とりどりのお札を挟むのが一般的だ。
お札と人

 しかし、中には20バーツ札を丸めるように細工して独自の花束を作ったり。
20バーツ

 それらを紙で作った花の中に組み込んで、まるで前衛アート生花(?)のように見せている人もいる。
花束

 ともかくも無一物、最小限の身の回り品だけを手に家を飛び出して来た流浪の身にとっては、よだれを垂らして引きつけを起こしそうな衝撃的な光景なのである。

 咄嗟に右手を伸ばして、鷲掴みしたくなる衝動をかろうじて抑えた。

「これを全部タンブンするくらいなら、哀れな身の上のこの俺様にちっとでも分けてくれろよお!」

 思わず、そんな罰当たりな科白を呟いたのも無理からぬ境遇なのである。
ワニとムカデ
   
 仏陀の使者とされる縁起物のワニとムカデの旗を先頭に、隊列が組まれた。
出発

 色鮮やかな伝統衣装に身を包んだ老若の女性たちが、記念撮影に収まる。
記念撮影

 そのあとは、お決まりの自撮りである。
自撮り

 笛と太鼓の4人組楽隊が賑やかに音楽を奏で始めた。
楽隊

 この音楽に従って、華やかな行列はタンブンのためにしずしずと町外れの寺に向かって動き始める。
お供え

 ああ、無情!

 垂涎のお札の花束が、私の手から遠ざかってゆく。

 なんとか、一枚でも二枚でもこっそり抜き取る方法はないものだろうか。

 そんな浅ましいことを考えながら、いつかはやって来るかもしれない好機(?)を窺うべく、私もこっそりと行列の末尾に加わった。

 あ、そうだ!

 今日はとりあえず改心して真面目に仏陀様にお参りを済ませ、明日は強欲に念じつつ宝くじ様におすがりすることとしよう。

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