チェンマイで悠々として急げ!

カレン族の村から迷い出たクンター(爺様)のよれよれ、とぼとぼ「再生記」

カテゴリ: 新たなる出会い

蝶々

 元旦のうちにやっておくべきことが、無事にすべて片づいた夕刻。

 ふらりと散歩に出ると、小康状態だった神経痛がまたぶり返してきた。

 例のセクシーなお尻の右のえくぼのあたりが、妙に「痛だる」い。

 妙な形容だが、そんな風にしか書き様がない痛みであり、だるさであるのでR(なんて表記が、一時流行りましたなあ、嵐山さん)。

 そして、そこから広がった太腿の裏側、ふくらはぎ、脛へのラインが、切ないほどに痛苦しい。

 切ないなんて気持ち、ずっと忘れていたのだけれど。

 このもどかしいような、身悶えしたいような、震えるような恋心、じゃなかった「痛だるさ」、ホントにもう身をよじりたいほどに堪え難いのだ。

         *

 ああ、どうしよう、どうしよう。

 年末にかかったマッサージ師は、明日にならないと出て来ない。

 だけど、このまま座して死を待つ(?)心境にはとてもなれない。

 そこで、びっこをひきひき、ウオーキングの途中で見かける小さなさびれたようなマッサージ店に向かった。

         *

 スライドドアを開くと、婆さんが仰向けになって昼寝をしている。

 あちゃ〜、こりゃ外れかなあ。

 そのまま引き返そうとしたら、意外や意外、その昼寝婆さんが素早い身のこなしで起き上がると、「ほら、入って、入って」と私の腕を取った。

 やむなく靴を脱いで床に立つと、そこには4つのふとんが無造作に敷き並べてある。

 年末に行ったマッサージ屋のようにカーテンで仕切ってあるわけでもなく、静かな癒し系のBGMが流れているわけでもない。

 お決まりの洗足もなく、「じゃあ、そこに寝て」と適当なふとんを指差された。

 マッサージまで適当にやられては困るから、右足を指差して、ちと大げさに症状を説明する。

「ああ、そりゃ**だね」

 とあっさり言われたが、意味は分からない。

 でも、この婆さん何気にできる風も見えたから、メガネを外してふとんに横たわろうとすると、

「あ、その前にこれに着替えてちょうだい」

ぶかぶかのタイパンツを渡された。

でも、着替える場所なんてどこにもない。

「アタシしゃ構わんから、ここで着替えなよ」

あの、こっちが困るんですけど。

        *

 仰向けに寝た。

 荒っぽく私の右足をさすった婆さんが、

「あちゃ、こりゃパンパンだわ。どれ、左を下にして横向きになって。ほれ、左足は伸ばして、曲げた右足を左足の上にこう乗せる、と」

 その態勢ができると、いきなり左足のふくらはぎに激痛が走った。

 見ると、婆さんがその上に乗って体重をかけているのだ。

 しかも、なんで痛んでいないはずの左足?

         *

「い、痛い、痛い!」

そう叫んだが、婆さんは一向に構わない。

思わず右手を伸ばして、婆さんの足をむこうに押しのけた。

「おお、おお、随分と痛がりだねえ」

婆さんの口調には揶揄するような響きがあったが、痛いものは痛いのだ。

婆さんは苦笑しながら私の右側に座り込み、右足を抱え込むようにして手によるマッサージを始めた。

これがまた、荒っぽい。

痛みの震源地であるお尻のえくぼのあたりに、容赦なく肘や指を食い込ませて、筋をほぐすようにグリッ、グリッとずらしてゆく。

その攻撃が、いつ核心部に達しまいかと気が気ではない。

金だけ払って、もう帰ろう。

そう思った瞬間、右足の指先に別の感触が伝わってきた。

ひ! なんだ、これ?

だって、婆さんは私の右足を左手で抱え込んで、右手で施術をほどこしているのだ。

とうことは、別の誰かが婆さんとはまったく違う繊細なタッチで、私の指先をほぐしていることになる。

ゾゾ〜ッ、これって流行りかなんかの「ピー(心霊)マッサージ?

         *

ちらと目をやると、な〜んだ、さっき私に達者な英語で「あんた、日本人?」とたずねてきた旦那ではないか。

確か、私よりもずっと年上、間違いなく70歳は超えているだろう。

その爺さんが、なぜにこの年下のメイドインジャパン爺様のマッサージなんぞ?

ひとりっきりではつまんないから、暇つぶしに私の足で遊んでるのかなあ。

         *

そんな影の薄い爺さんが、その旗幟を鮮明にしたのが、いきなりの「マッサージマシン攻撃」である。

足指の揉みほぐしが終わったと思ったら、

「ブイ〜ン!」

いきなりハンディ・マッサージマシンを稼働させて、ウイン、ウイーンと足裏のツボを攻め立て始めたのであります。

くすぐったいのもあって、思わず笑っちゃう私。

一方で婆様は、相変わらずの荒っぽさでぐいぐい、痛む箇所を伸(の)して行きます。

揉むというのではなく、文字通り伸す。

特に、それが脛や腿の表面に及ぶと悲鳴を上げたいくらいに痛む。

だけど婆さんは、「そんなに痛くないはずだよ、軽くしかやってないんだから」と首をひねりながらのたまう。

         *

そこでふと、10数年前のことを思い出した。

ガン宣告からおよそ1年半。

過酷な闘病の果てに妻が逝ったあと、極度の不眠と鬱に翻弄されていた私は、今と同様に必死にサバイバルの道を探っていた。

そんな頃、「ガン患者家族の会」という集いに参加して、ご主人を亡くしたばかりの同年代の女性と知り合った。

彼女は経済的な自立をめざして、ある整体マッサージを学んだという。

私がさっそく、今の辛い体調を打ち明けると、彼女はすぐに施術を約束してくれた。

そして、彼女の自宅での施術が始まると私はすぐさま大きな悲鳴をあげた。

彼女は、約10センチくらいのマッサージ棒で、私の足の指先を軽く押しているだけなのだという。

だが、私にはそれがまるで拷問のような猛烈な痛みに感じられて、思わず悲鳴をあげてしまったのだ。

それほど私の体はボロボロで、神経がくたくたに疲弊しているのだと彼女は教えてくれた。

今、婆さんの施術を受けて大げさな悲鳴をあげている私は、おそらく、その10数年前の私と同じような体調のもとにあるのだろう。

       *

激しい痛みの連続の中に、たまにまどろみたいような安楽のときが訪れる。

そんな奇妙な二人掛かりのマッサージが終わった。

二人の攻撃は、首や背中に及ぶことはついぞなく、右足を中心とした腰以下の押し、伸(の)し、突き、揉みに終始した。

婆さんが仰向けになった私の右足を指差して、「伸ばしたまま持ち上げてみろ」と言う。

指示通りにすると、右足がひょいと上がって痛みはまったく感じない。

あれえ、おかしいなあ。

起き上がると、右のふくらはぎの下の方だけに軽い痛みを感じた。

蓮の花


「一回ではすべての痛みは取れないよ。少なくとも3日は連続でやらなくちゃ。明日もきっと来るんだよ」

確かに、痛かった。

「もうやめてくれ!」と叫んで、爺さんや婆さんの手を払いのけようとしたこともあった。

だが、いまの私は、すなおにこの二人掛かりの奇妙なマッサージを明日も受けてみたい、という気持ちになっていた。

最後に値段を訊くと、「ああ、1時間で200バーツだよ」

婆さんが、思い出したように言う。

いわゆる、標準的な値段である。

高くも安くもない。

普通はお互い最初に値段を確認し合うものだが、この3P(3人のプロジェクトチーム)、値段よりも先に私の足の「痛み」に一気にフォーカスしてしまったようだ。

それよりも婆さん、爺さんの二人が、なんだか疲れたような、それでも満足したような年寄り特有の微妙な表情を浮かべていることに私は打たれた。

明日の結果症状と、その後の新たな二人がかり3Pプレイが楽しみになってきたぞお。

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一般社団法人臨床タイ医学研究会
BABジャパン
2016-11-29


カヌンスープ

 昨夜もまた、2時間半しか眠れなかった。

 昼間は、実に5年半ぶりに。

 ちょうど「世界の果ての日本人」の取材があったとき「オムコイ・バンブーハウス」に泊まってくれていた年上の友人・Kさんと会うために、某所まで炎天下を片道30分かけて歩いた。

 待ち合わせ場所のカフェでは、2時間半近くもぶっ続けでしゃべり通し、帰りもまた夕暮れの中を30分かけて歩いた。

 あたりが薄暗くなるにつれて気温がぐんぐん下がり出し、大汗に濡れた速乾性の半袖Tシャツがじわじわと背中を冷やす。

 剥き出しの両腕がひんやりとした風に触れて、掌でこすりたくなるほど冷たくなって来た。

        *

 そのまま近所の総菜屋に立ち寄り、トムジュッ(マイルドな味付けの豚肉野菜春雨スープ)と豚肉ジャガ芋甘辛煮込み(各20バーツ)、それに炊きたてのカオニヤオ(餅米)を5バーツ分確保。

 部屋に戻るとびしょ濡れの服や下着を脱ぎ捨て、大急ぎでシャワーを浴びた。

 うへっ、チベタイ!(だって、月家賃1,600バーツなんだも〜ん)

 年末年始はぐっと冷え込むそうだから、思い切って電気温水器を仕入れるかなあ。

 あの寒いオムコイを離れて、すでにほぼ2ヶ月。

 爺さま、このチェンマイ郊外において都市生活の余波を受けてか、すっかり軟弱化してしまったようだ。

        *

 総菜をつまみにビアレオ(55バーツ)を一気に飲み干し、ちょっと考えてからHong thong(タイ産一応ブレンディッドウイスキー)をストレートで少々。

 いつも一応「ちょっとだけ」考えるのは、一応爺様が「高血圧症患者」だからだ。

 ほんでも、今日は朝も含めると2時間以上は歩いた。

 特に日中と夕方には大汗をかいたのだから、まあ、許容範囲だろう。

 勝手にすぐさま自分を許して、ちょっとばかり酔っ払った。

 だから、午後8時にはベッドに倒れ込んだのだが、「やったあ、朝だ!」と糠喜びしながら覚めて時計を見ると、まだ1時間しか経っていなかった。

 とほほ。

        *

 それから、目をしょぼしょぼさせながら、撮り溜めた膨大な数の写真を整理して、短いキャプションを付けた。

 この根気のいる、しかし楽しい仕事ができなくなったときに、私は人生の年貢を完全に納めざるを得なくなるのだろう。

 ふと、そんな老いの寂しい想いに囚われながら、完璧に仕事を終えた。

 あとは、これらの写真をイキイキと躍動させることのできる素敵な舞台を、自らの筆、もといキーボードで描き出すだけである。

 気がつけば、すでに零時半。

 あわてて、ベッドに入り直した。

 そうして、再び目覚めてみると、時計の針は午前2時を指していた、というわけだ。

        *

 ここでもう一度、あと1時間でも眠れれば心身ともに快調になるのだろうが、そうは問屋が卸さない。

 どうせ時間を潰すのなら、少しでも仕事に活かせることをしたい。

 ふと思いついて、カヌンちゃんの「激旨!タイ食堂」を眺めることにした。

https://youtu.be/oJyH_AyrxbM

 公開ビデオの中には、確か北タイ料理を取り上げた回もあったはずだ。

 それなら、「北タイ旅のプランナー」としての私の勉強にも役立つだろう。

 それに、見終わってから納得がいった場合には、Facebookでシェアすればいい。

 そうすれば、一緒に北タイの旅を創ることになった信頼する若い友人・西尾さんのツアー会社TOLIPULLの宣伝にもなるではないか。

        *

 カヌンちゃんは、今日も元気だった(収録日はロイクラトーンのあとだったらしいけど)。

 そして、元気にしゃべり、モリモリ食べた。

ナムプリック


 「あ、あ、こらこら! ナンプリックをそんなにたくさんケープムー(豚皮のカリカリ揚げ)につけたら、辛くて頭から火が噴き出るぞお!

 爺さまはすでに、カヌンちゃんが辛さに弱いことをよく知っている。

 もうすっかり、カヌンちゃんの祖父さま気分で、ハラハラドキドキ。

        *

 ナムプリックの味見のあとにコメントが発せられるまで、ちょっと間が空いた。

 心無しか、表情も強張って見える。

 「か、辛い〜!」

 悲鳴をあげて泣き出すのではないか。

 そう危惧したのだが、杞憂に終わった。

 「あんまり辛くしてないから、アタシでも大丈夫です」

 そう言いながら、カオニヤオ(餅米)に手を伸ばし、ナムプリックをまぶして頬張った。
 
 あれ、本当は相当に辛かったんじゃないのかなあ。

        *

 でも、その言葉をほんとうに信じるとするならば、辛くない北タイ料理の一体どこに存在価値があるというのだろう?

 それは、気の抜けたわさび、気の抜けたビールに等しい。

 なんぞと偉そうなことを書きながら、実は私自身もカレン族の村で暮らし始めた当初は、敵に「辛くない」ナムプリックを作ってもらっていた。

 そして、それを敵が面倒がるようになると共に、私の舌も否応なく鍛えられ、いつしか「辛くないタイ料理になんの意味がある」なんぞと豪語するまでに増長してきたのであった。

 だからして、この北タイ料理専門店が若いチェンマイ人や観光客のために辛さを控えめにして、その独特の素材や調理法、香草、薬草などの按配などについて、より広く知ってもらおうとする努力については、大いに賞揚しなければなるまい。

 ああ、カヌンちゃん。

 ひどい目に遭わなくって、よかったねえ。

       *

 最後に紹介されたのは、北タイでしか採れない「ヘットトップ」をメイン素材にしたキノコ料理「クア・ヘットトップ」だった。

 カヌンちゃんが無心でかじっているこのヘットトップ、じつは元番頭さんの私も、何度か山奥に採りに行ったことがある。

 普通のキノコとは違って、このヘットトップ、柄を伸ばさない。

 その黒くて丸い粒のような体を、地面に直接埋めるようにして成長するのだ。

 だからして、見つけるのがきわめて難しい。

 しかし、一旦その大元の菌根(?)を発見すると、である。

 あたり一面に、まるでころころと転がるような姿でびっしりと張り付いているヘットトップの群れを、一網打尽にすることができるのであるのであ〜る!

         *

 最盛期には市場で高値で取引されることもあって、中には飼料袋いっぱいのヘットトップを収穫する強欲、もとい、剛の者もいた。

「今日はあいつが、あそこの裏山で1,000バーツも稼いだらしい」

 普段とは一桁も違うそうした豪儀な噂話が飛び交うのも、このヘットトップがいかに高い人気を誇っているかの確かな証拠と言えるだろう。

 それなのにカヌンちゃん、いったんビデオを止めさせるくらいに、夢中でヘットトップを食べまくっていたらしい。

 いやはや。

*冒頭写真はカヌンちゃんの呼び名のもとになっているらしいカヌン(ジャックフルーツ)のスープである。4月のソンクラーン(タイ正月)に、北タイの正月料理として振る舞われる。

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冒頭幸せ

 本人はなんにも知らぬままに、爺様がFacebook内に創設した「チェンマイ・カオソーイ愛好会」の初代キャンペーンガールとして、八面六臂の活躍をさせられてきた「迂闊の人」。

 このままずっと、彼女とカオソーイの蜜月関係は続くものと思っていたのに、突然、帰国の報がもたらされた。

 今月4日付けの記事でも書いたように、彼女はミャンマーへ旅のあとでチェンマイに入った。

 だが、着いた早々の夜に足首を捻挫してしまい、松葉杖、今風ギブスという重装備で、屋内養生を余儀なくさせられたのだ。

      *

 自分でも、ネットで仕入れた情報をもとに色んなマッサージなどを試してみたらしい。

 それが悪かったのかどうかは分からないが、2週間半ほど経っても経過は芳しくない。

 ちなみに、医師の診断は「全治3週間」だったはずだ、

 そこで考えた挙げ句、いったん日本に帰国して知り合いの整体師にその傷を委ねようと決断した。

 チェンマイのあとにはラオスへの旅も予定していたのだから、いかに「迂闊の人」とはいえ、気の毒なことになったものだ。

 むろん、アルコールが傷の回復に良くないことは分かっている。

 しかし、本人がどうしても一緒に飲みたいと駄々をこねるのだから、海のように深く広い恩情の人であるところのこの爺様が、この「迂闊難民」を無下に見捨てるわけにはいかない。

 そこで嫌々、もとい、「喜んで!」、今はなきタイウエイ・ゲストハウスの残党どもに声をかけた。

 呼応したのは、私が13年前に初めてチェンマイにやった来た際、バンコク発の夜行バスの中で偶然に知り合った塩谷さん。

 そして、その後移ったタイウエイで同宿になり、これまた今はなき「オムコイ・バンブーハウス」の宿開きにも駆けつけてくれた徳さんだ。

      *

 私を含むこの残党3人が、あれから10数年経ったいまも、こうしてチェンマイに集い寄り合っていることは、まさに軌跡としか言い様があるまい。

 そうして、今夜の主役である「軌跡の人」はこれらタイウエイ・ジェラ紀からはるか遅れること数世紀。

 化石化寸前の「タイウエイ」と「バンブーハウス」という、旅人にとっては歴史的記念碑とも呼ぶべき二つの宿に泊まり合わせて、この残党どもとも知り合うという不幸な、もとい、幸福きまわりない歴史役回りを担ったのであった。

     *

 ふう、やれやれ。

 やっと、酒が飲めるわい。

みんなで


 取りあえずは、ビールで乾杯だ〜い!

 それぞれが好みのビール(約一名は水)を注文し終えたところで、主にビアチャン(象印ビール)を勧める「ビール飲め飲め促進係」のきれいなお姉様が登場した。

ビアガール


 彼女、同性の「迂闊の人」から見ても相当な美形なのだそうで、すっかり女性アレルギーになってしまった爺様。

 この夜初めて「女性でもきれいなお姉さんにお酌をしてもらうと、胸がドキドキするくらいに嬉しい」という驚愕の事実を知らされたのであった。

      *

 つまみは、爺様の大好物であるヤムカイダオ(キュウリ、トマトなどの生野菜と手でちぎった目玉焼きを唐辛子の効いた甘酸っぱいソースであえたバカウマ・サラダ)。

 それに、プラーニンなどの養殖魚の中では最高の気品と淡白な味わいを誇るオレンジ色の鱗をもつプラー・タプティンのハーブ添え唐揚げ。

ザかな唐揚げ


 そこへ、なぜか注文していないはずの同じくプラー・タプティンの蒸し焼きが乱入する。

魚蒸し焼き


 相棒のウイワットが糾すと、ウエイトレスが記入ミスをして行き場のなくなった料理を、我々無知な日本人に押しつけようと云う策略であったらしい。

 だが、すっかり酔った番頭さん、もとい、「フリーダム老年ノマド」のクンター吉田、この過ちをタイ人、もとい大人のごとく悠揚として受け入れ、すぐさまそのとろけるような女体、も、もとい魚体に愛撫の手を、もとい、もとい、愛の手を差し延べたのだった。

蒸し焼き


 ビアチャン党のはずの徳さんは、美形お姉さんの思わぬビアシン(獅子印ビール)混入手口に狂喜乱舞し。

徳さん飲む


 水で酔った塩谷さんは、13年前と変わらぬ姿でニコニコと微笑み。

徳&塩谷


 ハイテンションの「迂闊の人」は、懸命に否定しながらも奇妙な論理でダンナの惚気(のろけ)話を繰り返し。

 ちと呂律の回らなくなってきた爺様は、最初の登場時点から怪しいオーラを発してきた仲居頭みたいな女性が、突如として超絶技巧の歌い手に変身したことに驚愕し。

謎のおかみ

唄のお姉さん


 明日のスコータイ行きを控えた相棒は、お仕事Lineのチェックに余念がなく。

噴水

ハートご飯

 
 かくして、腹一杯飲んで、かつ食べまくったご一統は、お一人様326バーツという衝撃の安値に感動の涙を流しつつ。

 相棒の親戚のお姉さんが運転する流行りのアプリ白タクに乗り込んで、街へと戻っていった。

 さらば、「迂闊の人」よ!

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池波さん


 爺様より一歳年上のX氏が、そのずっしりとした重さにも委細構わず、数冊の本を包んだ風呂敷をかついで、わざわざ我が隠れ家まで届けに来てくださった。

 初めは、山奥の村からの密偵、もしくは刺客かもしれぬと怪しんだのだが、まさか、その疑わしい人物がこんな重たい荷物を担いで、自らの探索能力、あるいは戦闘能力を減殺するはずもない。

 ああ、いかん、いかん。

 窮鼠、猫を噛む。

 人間、追いつめられるとろくなことを考えない。

     *

 待ち合わせ場所は某カフェだったのだが、爺様もX氏も洒落たコーヒーなんぞより、アルコール飲料のの方をより好む。

 本の受け渡しが終わると、話は即決。

 場所を移動して、ビールでの乾杯と相成った。

     *

 X氏は相変わらず機関車のようにパワフルかつ多彩なトークを展開するのだが、最近はどうも妙な失敗が多いのだという。

 数年前には簡単にできたことが、なかなかできない。

 モノを置き忘れたり、高価なものを紛失したりする。

 約束を違えて、家族やまわりを振り回したりする。

 爺様にもいちいち思い当たることが多く、とても人ごととは思えない。

     *

 二人が共通して認識しているのは、数年先に迫った70歳という年齢が、人生の大きな分岐点になるだろうという恐怖にも似た感情である。

 これは、故郷の同級生もメールに書いていたなあ。

 爺様の場合、今のところさしたる体力の衰えは感じないのだが、俗説にいう「男の肉体衰亡の3原則」に即していえば、歯はすでに50代にしてガタボロ、目は最近急にかすみ出し、訳もなく涙がにじみ、モノが二重、三重に見えたりする。

 これは間違いなく、白内障の前兆であろうと思われるのだが、金銭的に見てとてもすぐさま手術というわけにはいかない。

 そして最後の男性としての存在証明能力であるが、これについては言わぬが花であろう。

 うーむ、男の三重苦を全身で受け止めているこの惨状!

     *

 などと互いに慨嘆していても仕方がないから、残る選択肢はとことん飲むに如かず、という結論に達した。

 二人とも高血圧症患者である。

 常に脳梗塞、脳内出血、心筋梗塞、眼底出血、心臓発作など死につながりかねない危険要素を抱え込んでいる。

 だが、X氏の統計数字を駆使した持論によれば、私たちは明日とは言わず、数秒後に昇天、もしくは地獄に召されたとしても、誰にも文句の言えない筋合いなのである。

 だから、先のことよりも今日の今のこの一瞬一瞬を如何に生きるか、いやもっと具体的に言えば、如何に飲むかが重要な問題となってくる。

     *

 だから、飲みましたよお。

 とことん、飲み尽くしましたよお、ウーイ、ヒック。

 最初はビール1本と決めていたX氏だったが、その自己制御機能はたちまちにして崩壊した。

 それにつられて爺さまも、はるかに許容量を超えたビール2本をアッと言う間に飲み尽くす。

 次に、タイウイスキーの水割りに取りかかり、これまたあっという間に底をついた。

 そして、老いの愚痴を核とする滅茶苦茶な談論風発の果て、X氏は少し足下をふらつかせながら家路についたのだった。

 その後ろ姿は、なんともいえない男の哀愁に満ちている。

 よっ、日本一!

      *

 すっかり酔っ払った爺様も隠れ家に戻って、X氏からいただいた宝物をそっとひもといた。

 ああ、もったいない、もったいない。

 なにせ、1ヶ月以上も本から隔離された悶え苦しむ活字中毒重症患者なのだ。

 下手すると、一晩で数冊を一気に読み終えかねない。

    *

 爺様は湧き上がってくる激しい渇望を抑え込み、敬愛する故・池波正太郎さんの『映画を見ると得をする』の文庫本をそっと手に取った。

 表紙に頬を擦り寄せ、背表紙を指で撫でさすり、ハーハーと荒い息をして、ふらふらと目次を開こうしては、ハッと気がついてギュッと目を閉じ、切なげに頭を横に振る。

 といったような、傍から見れば気が狂ったとしか思えない所作を飽きることもなく繰り返しながら、恍惚の人となった爺様は、実に切なく悩ましい永久(とわ)とも思える華麗な一夜を過ごしたのであった。

ああ、ありがたや、ありがたや。

あっ、そこ駄目、あっ、うっ、はふ〜ん!

*もしも、チェンマイで運転手付きワゴン車&乗用車が必要になったら!
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冒頭幸せ

 おや?

 チェンマイ名物麺「カオソーイ」を食べながらニコニコしているこの女性。

 もしかして、昨日の記事で同じくニコニコしながら車椅子に乗っていた「迂闊の人」ではないか?

 そう思った読者も多いことだろう。

     *

 そうなんですよお。

 しかも、長い長い治療が終わったあとの解放の時間にではなく、病院に向かう直前のお昼どき。

 前夜に足首を強烈に捻って、もしかしたら骨にヒビでも入っているのではないかという不安と焦燥と緊張の中でのこの笑顔。

 この「幸せの人」の精神構造、いやメンタル・シチュエーション(言葉を和らげようと思ったのだが、同じか)は、一体どうなっておるのだろう。

     *

 ね、皆さんもきっとそう思うでしょ?

 むろん、爺さまだって猛烈にそう思いましたよお。

 なにせ、前夜は心配のあまりに(嘘です)一睡もできず、数時間もクルマを飛ばして(これも嘘)必死に救援に駆けつけたというのに。

 この「幸せの人」は開口一番、こう言ったのである。

「ああ、お腹がぺこぺこで〜す!」

 いくら、まともに歩けないから朝食が摂れなかったとはいえ、そりゃあ、あんまりだよお。

 これじゃあ、百年の恋も一気に冷めちまう。

 おっと、失望のあまりに言葉の洗濯、もとい、選択を完全に誤ってしまったわい。

     *

 悪いのは、カオソーイさんなのである。

 この絶望の淵に沈む「迂闊の人」を、瞬時にして満面の笑顔の「幸せの人」に変えたのは、このチョイワルのカオソーイさんなのである。

 バカバカバカ!

 おいおい、爺さんよお。

 んなバカなこと言ってる間に、麺が伸びちまうぜい。

 とっとと食って、とっとと書いちまいな!

 へいへい、読者の旦那さんにおかみさん、失礼いたしやした。

 おお、コワ・・・。

     *

 場所は、わが相棒が「チェンマイでナンバーワン」と強調するカオソーイ・サムージャイ。

 確かに人気店らしく、広い店内を地元の人や観光客が埋め尽くしている。

店内


 壮観とも言えるが、不安でもある。

 「人気店 名前が上がれば ただのケチ」

 江戸時代にはそんな川柳もあったように(ないか)、われわれが日常的に直面する哀しい現実である。

     *

 無愛想な店員によって運ばれてきた品を見て、瞬時に不安が的中したことを悟った。

 麺に混ぜ込むパッカドン(高菜漬け)とホンデーン(赤皮ミニ玉ねぎ)に、まったく気迫が込もっていない。

カオソイ1

 
 そんなものに気迫を込めてどうすんだ?

 そう問い詰められても困るのであるが、真のカオソーイ食いにとっては、これこそが理屈を超えた味の見極めどころなんですなあ。

 つまり、麺とスープの味の善し悪しは、食べずともこれを見た瞬間にぴたりと分かる。

 恋の行方も、ぴたりと当る。

 どうです、スープの底の生麺にも、その上にばらまかれた揚げ麺にも、まったく気迫を感じないでしょう?

カオソイ2


 そして、オレンジ色のはずのスープが白く濁っているのも不快であります。

 その上に、さっきの高菜漬けとミニ玉ねぎの刻みをドサッとふりかけてみると。

 どうです、この見た目の貧弱さ。

カオソイ3


 ああ、情けない。

 ここで、先月21日の記事「神様、仏様、カオソーイ様!」で紹介した、わが隠れ里の究極のカオソーイの写真と較べてみれば。

俺のカオソイ


 ほらね、違いは一目瞭然でしょう?

 どだい、人品、もとい、麺品の格が違うのである。

 しかも、値段はこちらの方が10バーツも安いのである。

     *
 
 おっと、あんまり文句ばかりを並べるのも、目の前でおいしそうに頬張っている「幸せの人」に悪いから。

 爺様、いい事を思いついた。

 (また、書いてもいいですか?)

 そうだ、京都へ行こう!

 じゃなかった、カレーライスにしよう!

 そこで一皿のライスをとり、二人で半分っこにした。

 これを残ったスープに放り込んでかきまぜると、あ〜ら不思議、日本風カレーライスの出来上がり。

カレーライス

 
 これは大正解だった。

 炊いたジャスミンライスの投入によってスープの味がまろみを増したのか、なかなかの味わいなのである。

 爺様と「幸せの人」とは目と目を見合わせて、熱くウインクを交わし合い、も、もとい、黙って頷き合うのだった。

アロイ!


 ああ、日本人に生まれて良かったなあ。

     *

 終わりがけになって、相棒が注文した豚肉の串刺しとサラダがようやく届いた。

串焼きサラダ


 実に間が抜けている。

 串刺しはここの売り物らしく、店頭で盛大に煙をあげながら炭火でジュージューと焼いているのである。

串焼き

 
 味はまあ、なんということもない。

 この手の串焼きにしては脂身が少ない、というのが唯一の取り柄か。

 だが、「幸せの人」もしきりに褒めていたように、特製らしいゴマ&ピーナッツだれはなかなかの深い味わいだ。

ゴマだれ

 
 付け合わせのキュウリ&ミニ玉ねぎ&ニンジンの刻みサラダが、口中をさっぱりとさせてくれる。

 今日一番うまいと思ったのは、甘酸っぱいドレッシングと共に味わうこの刻みサラダであった。

 やれやれ。

     *

 会計は、3人で260バーツ。

 麗しきレディの前であるからして、個別の値段は訊かなかったのだけれど。

 カオソーイが3人分で120バーツ、串焼きが80バーツとして。

 残りの60バーツは、一皿のライスと刻みサラダと店名入りのペットボトル1本分である。

 爺様の北タイ標準常識からすれば、ライス10バーツ、水10バーツ、刻みサラダもせいぜい高く見積もって20バーツというところだ。

 あとの20バーツは、一体どこへ行ったのだ?

 責任者よ、出て来〜い!

     *

 こんなんだったら、カオソーイを50バーツにした方が、よっぽど良心的だと思うけどなあ。

 そうすれば客は「人気店」という虚名ではなく、それが50バーツの値段に見合う味わいかどうか、本気で吟味するはずである。

看板


 客の数は、相当に減るかも知れない。

 でも、その見識を、金に糸目をつけない中国人ツーリストを初めとする観光客に求めるのは酷というものだろう。

 お〜っと、今日の爺様、ちょっと渋みがあって、なかなかカッコよくない?

 コホン。

 おあとが、よろしいようで。

 チャンチャン♪

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