看板

言わずと知れたターニン市場のそばに、「ガガガ咲か場」という奇妙な名前の和風居酒屋がある。

ここで「炙りしめ鯖」をつまみにビアレオ(豹印ビール、タイ人はリオと発音する)なぞ飲みつつ、ふと酔眼をあげれば、細道を挟んだ向かい側の夜空に、白地に赤黒を配したなかなか洒落た看板が滲んだようにふわっと浮かび上がるのである。

「Bar夜食堂」

女将の名前はノッケウ(日本語でオウム)という。

    *

私の愛人である。

と言いたいところだが、非常に残念ながら10数年来の付き合いの娘のような存在だ。

かつては、チェンマイ門そばで「タイウエイ・ゲストハウス」という安宿の女将をしていた。

旦那のウイさんは元陸軍スナイパーで、優秀なシューティング・インストラクターかつガンスミス(修理職人)であった。

二人の幼い娘を連れて、わが山奥の村を訪ねてくれたこともある。

だが、きわめて悔しいことに、彼はまだ若くして先に逝ってしまった。

それから、おそらくさまざまな想いと葛藤があったことだろう。

そうして、今年の4月、ノッケウは「「Bar夜食堂」の女将として、再び復活した。

酒棚


ところで昨夜、ちと不思議な店名の由来を訊いたところ、「なるほどなあ」と唸らされた。

私自身は、小林薫が主演した「深夜食堂」というドラマのタイトルから取ったと思っていたのだ。

ところがノッケウは、こう言う。

「私はお酒を飲んでいると美味しいものが食べたくなる。そして、美味しいものを食べるとますますお酒が美味しくなって、夜がますます楽しくなるんです。だから、ついつい人にも『美味しい夜食、どう?』って勧めたくなってしまう。だから、夜食堂」

ね、なかなか温もりのあるネーミングでしょ?

    *

黒板品書きのとおり、良心価格である。
メニュー黒板


女性が一人で行っても安心できる健全な雰囲気だ。

外観


BGMのセンスも光っている。

何よりも、女将が元気なのがよろしい。

どうか、可愛がってやってください。

さて、今夜の酒と夜食、「Bar夜食堂」でどう?


★クンター、本日のお薦め!