チェンマイで悠々として急げ!

カレン族の村から迷い出たクンター(爺様)のよれよれ、とぼとぼ「再生記」

2019年07月

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「狂恋 in 立山」と題したAmazonの読者レビューには、大いに励まされた。
 
 書いたのは安曇野在住のノンフィクション・シンガーソングライター、義田バサラ氏だ。

 正直に言えば、5月に出版した電子書籍『狂恋 in ニューヨーク』は自信作とは言えなかった。

 最後の最後まで、フィクションにするか、ノンフィクションで行くか、迷いがあったからである。

 そして、結局は「自分の書きたいように書く」というこだわりに従って、10数年前のニューヨーク体験にケリをつけることにしたのだ。

 そのヤケクソとも言える決断によって、『「遺された者こそ喰らえ」とトォン師は言ったータイ山岳民族カレンの村で』『狂龍(クワンロン)』『狂恋 in ニューヨーク』の“海外迷走3部作”はついに完結を見た。

 このわがままな作品提示を、バサラ氏は丸ごと受け止めてくれた。

 瑕瑾と思える箇所ですら、独自の感性で見事に掬い上げ、かつ救い上げてくれた。

 芝居や音楽なら、その場で見る人、聴く人の反応を知る事ができる。

 しかし、書くという行為は実に孤独な作業である。

 だからして、たった一人でも書き手の理解に努めてくれる読者がいるという事実は、限りない勇気を書き手に与えてくれるものである。

 極論すれば、「これで、いつ死んでもいい」と思わせてくれるのだ。

 そして、その思いは、また再び孤独な作業に没頭するだけの力へと変わってゆく。

 つまり、この読者がいる限り私は書き続けなければならないのである。

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「狂恋 in 立山」by義田バサラ

標高2450m。立山の主峰雄山の中腹に日本で一番星に近い駅「室堂」がある。
男はその場所で現在と過去の区別もつかないまま、彼女という未来の扉を開く鍵を探し続けている。

男は58、彼女は22。そして、それはまさしく「狂恋」・・・。

「共生と再生」という旗印をかかげ、作家は時に雄々しく、時に女々しくジュディという宝石を探し求める。漸く手に入れた安寧の時は、まるで驚いた猫のように一瞬で姿を消してしまう。それでも、作家は傷だらけの4回戦ボーイのように運命の糸をたぐり寄せようとする。

しかし、作家の戦いはあっけなく終わる。そこには有り体の恋愛小説に不可欠な圧倒的なトラジティも心踊るハッピーエンドも存在しない。ニューヨークのホテルの一室のベッドの上に引かれた作家とジュディとの境界線。作家はそれこそが二人の魂の境界線だったと気づいたのではあるまいか。3度目のニューヨーク行きを実行する気さえ失せる程に。

そして、ノンフィクション・ノベリストとしての作家の真骨頂もここら辺りにあるような気がするのは私だけだろうか。フィクションに慣れた私はどうしても絵に書いたような結末を求めてしまう。作家はいつもそいつを裏切って見せる。

ノンフィクションに結末などありはしない。
強いていえば、今、今日この時を生きることこそが結末なんだと。

★クンター、本日のお薦め!

 
講義会場

 かつて、ミャンマー国境に近いカレン族の村で暮らしていた爺様自身が、“ミャンマーの今を知りたい”と無い智恵絞って企画した「チェンマイわいわい映画塾」。

 なんと、7月28日の当日には『一杯のモヒンガ—』を監督した北角裕樹さんが、ヤンゴンから手弁当で空を飛んでやって来てくれることになりました。

 わあ、大変だ、どうしよう、どうしよう、誰も見に来なかったらどうしよう!?

 パニックになりかけた爺様に、今度は情報紙の『CHAO(ちゃ〜お)』が温かい後援の手を差し伸べてくれました。

 7月10日発行の次号にも続報が掲載されます。

 なお、北角さんがヤンゴンで展開する幅広い文化事業については「ヤンゴン編集プロダクション」でサイト検索してみてくだされい。

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ちゃ~お(Chao)https://www.facebook.com/chao.chiangmai/

■第1回チェンマイわいわい映画塾開催

~見たい、気になる、あの人にも見せたい・・・そんな映画を一緒に見て、語って、ちょっぴりお勉強~
 
★第1回上映作品は、日本人若手監督による「日麺合作映画二本立て」です。
★当日は『一杯のモヒンガ—』の北角裕樹監督(ヤンゴン編集プロダクション代表)が、ヤンゴンから駆けつけてくれます。映画作りを含めたミャンマーの最新文化事情を知る絶好のチャンスです。

★2作品とも「2019年東京映画祭新人監督賞入選」など、数々の国際賞を受賞しています。
★参加費は無料。16席限定ですので、予約はお早めに。なお、 上映終了後は近くのお店で懇親会を予定しています。

【上映作品】

①『一杯のモヒンガ—』(北角裕樹監督・28分)
 ミャンマーの伝統的麺料理「モヒンガ—」作りを通じて父親の復讐を目論み、悪の巨大組織に挑む若い料理人のとんでもない料理バトルを描くコメディ映画。
 2018年夕張映画祭招待作品。ニューヨーク映画賞最優秀パロディ賞受賞。日本語字幕付き。

②『アンセスターズ・メモリーズ』(茂野新太監督・48分) 
 ミャンマー舞台のドキュメンタリー映画。日本人とミャンマー人の学生が「戦争と旧日本軍」の記憶を求めて、高齢証言者や慰霊地を訪ね歩く旅へ出た。そこで彼らが聞き知った「戦争の姿」とは? 
 2019年3月期ロサンジェルス映画賞で最優秀中編ドキュメンタリー賞受賞。日本語字幕付き。

【日時】7月28日(日)14:00~17:00
【場所】パンティッププラザ3階「タイ語学校TSL」受付左隣り教室にて。
【予約】kuntaa.yoshida@gmail.com(吉田)
【後援】CHAO(ちゃ〜お)、タイ語学校TSL

※一杯のモヒンガー予告編

https://www.youtube.com/watch?v=B1CIZHtaNrY

※「アンセスターズ・メモリーズ」予告編
https://www.facebook.com/watch/?v=398909570942125

★クンター、今日のお薦めです。
狂恋 in ニューヨーク (旅する人に贈るノンフィクション文庫)

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