チェンマイで悠々として急げ!

カレン族の村から迷い出たクンター(爺様)のよれよれ、とぼとぼ「再生記」

2019年01月

テーブル四杯

 前回の記事に続いて、われわれは同敷地内にあるKachamaさんの創作現場である工房を訪ねたのだけれど。

 それについてはすでに、爺様のFacebookで動画を、ビジネスページの「チェンマイフレンドリー・カーサービス」で多数の写真のスライドショーを公開しているので、興味のある方はそちらをぜひ参照していただきたい。

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 さて、午前中でKachamaさんの取材を終えたわれわれは、どういうわけか、爺さまと相棒のウイワットが暮らすチェンマイ郊外の田舎町へと向かうことになった。

 なぜならみき子さんから、「市街地の有名カオソーイ店はすでに食べ歩いた。できれば、クンターがブログで書いていた“近所の絶品食堂”で“究極のカオソーイ”と“満足のカオマンガイ”を食べてみたい」という強い要望があったからである。

 正直に言えばこの爺様、この“絶品食堂”は自分の胸に仕舞ったまま、独りでそっと死んで行こうと思っていたのであるが、2年振りに再会した美女に、ここまで迫られたら断る術もない。

 あるかなきかの信念は見事に吹き飛んで、その艶かしき迫力に、あっさりと軍門に下ったのだった。

         *

 いつもはくすんだような地味な色合いの食堂は、二人の美女の降臨で、にわかに華やいだ。

 そして、テーブルの上に4つのカオソーイが勢揃いした様は、まさに圧巻であった。

マナオ絞り

具を入れる


 盛りつけの鑑賞、マナオの絞り回し、そしてパッカドン&ホーンデンの刻みの投入。

 正しいカオソーイ道に従って、ついにわが“究極のカオソーイ”は、美女二人の口の中に。

 ああ、恍惚!

 身をよじらせたカオソーイは、ついに二人の美女の口から「ああ、おいしい!」というお褒めの言葉を引き出したのであった。
     
         *

 爺様は、例によって生麺と乾麺を平らげたあとで、5バーツ分のご飯を投入して、「日本式カレーライス」で締めくくった。

カレーライス


 ウイワットを筆頭とするタイ人の間で顰蹙を買っているこの孤独な深い味わいを、二人にもぜひ試して欲しかったのだが、ふたりはなんとカオマンガイを追加注文して半分こにしたので、すっかり満腹になってしまったらしい。

 その満足の表情を写真に収めたかったのだが、やはり顔出しは御法度となった。

ウイワット


 やむなく、このところめっきり白髪が増えたウイワットのむさ苦しい顔を写真に収めて、なんとも珍しい「郊外の大衆食堂でランチ」イベントは終了したのだった。

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冒頭カチャマ


染織り好きのみき子さんが「ぜひ、この人に会いたい!」と指名したのがタイ人女性のKachamaさん。

メーリム在住のテキスタイルデザイナー&アーチストである。

かつて、テキスタイルを学ぶため日本に11年間も滞在していたという彼女。

英語でのインタビューの途中に、いきなり流暢な日本語が飛び出してきたのには、一同びっくり仰天。

Ms. Mikiko who likes dyeing and wearing "I definitely want to meet this person!" was Ms. Kachama.
She is a thai lady and a textile designer & artist living in Mae Rim at suburb of Chiangmai.
She once used to stay in Japan for 11 years to learn textiles.
In the middle of an interview in English, suddenly fluent Japanese jumped out, everyone was surprised .

ギャラリー全景

スタジオ扉

工事完了記念


完成したばかりの彼女のギャラリーには、タイや日本、山岳民族など伝統的な染めや織りの手法に学びながらも、そこに現代的なセンスや自然に根ざした思想を盛り込んだ斬新な作品群が展示されている。

In her new gallery, a group of original works incorporating contemporary sense and idea rooted in nature while learning from traditional dyeing and weaving techniques such as Thailand, Japan, and mountainous ethnic groups It is exhibited.

真珠

籾米素材

着物柄


その独創的なデザインは、「New York Times」にも取り上げられるなど、海外でも高い評価を得ているという。
Their ingenious designs are said to be taken up in the "New York Times" and are also highly evaluated overseas.

ドイツ大使館展


上の写真は、バンコクのドイツ大使館で催された展示会の招待状だ。

孔雀の羽をモチーフにした作品展示会のタイトルは「Feathers & Souls」

The photo above is an invitation to the exhibition held at the German Embassy in Bangkok.
Works with peacock feather motif The title of the exhibition is "Feathers and & Souls".

孔雀の羽


招待状には、本物の孔雀の羽が貼付されている。

In the invitation, genuine peacock feathers are affixed.

朝焼け

着物帯風

繊細

扇


われわれの訪問にも気さくに応じてくれ、汗びっしょりになりながら作品を紹介してくれた飾り気のないKachamaさん。

Ms. Kachama who greeted us with a pleasant visit and introduced us to the work while sweating.

長尺日の出から

超尺2


その姿には、好きなことにひたすら打ち込む少女のような純真なひたむきさが感じられた。

In it's appearance, I felt a genuine dedication like a little girl who concentrate on a favorite thing.

ここ数日の元番頭さん、人に出会う喜びをしみじみと感じているところだ。
In the past few days, I am being very happy by the pleasure of meeting people.

★Kachama's gallery web site:http://kachama.net
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二人背中

チェンマイのピン川沿いにあるホテルで、みき子さんととも子さんに再会した。

二人は2年前の今頃、わがオムコイ・バンブーハウスを訪ねてくれたのである。

みき子さんは染織りものが大好きで、カレン織りの現場を見たいと熱望していた。

そして村を案内している途中、タイミング良く隣家の女房どのがカレン服を織っているところに遭遇し、縦糸を腰当てにつないでテンションをかける独特の「腰織り」を見ることができたのだった。

さらに、棚田散策の途中でたくさんの牛たちに囲まれ、仔牛に掌を舐められたときの二人の戸惑いと喜びの声を、番頭さんはずっと覚えていた。

そうして、去る11月、オムコイを離れて新しいブログを立ち上げ、相棒ウイワットのカーサービスを紹介したところ、みき子さんからさっそく「サンカンペーン・ハンディクラフト巡り」に関する問い合わせメールをもらったのだ。

それから、メールを通じて何度も旅の相談を重ね、ついに今回の再会と、「ハンディクラフト・スペシャル探訪」が実現したのである。

     *

スペシャルというのは、今回、みき子さんが絶対に会いたいと探し当てた人物が、どうも世界的に有名なテキスタイル・アーティストであるらしいということが分かってきたからだ。

ホームページは実にシンプルで、賑々しい宣伝は何もしてないのだけれど、どうやらニューヨークタイムズの取材も受けたことがあるらしい。

そして、その作品の販売価格が、文字通りに桁違いなのである。

うーむ、一体どういう人物なんだ?

さらに膨らむ興味と軽い緊張感を胸に、私たちはチェンマイ郊外のメーリムをめざした。

      *

約1時間ほどで住所の近くまで辿り着いたのだが、約束の時間には少し早い。

コーヒーでも飲もうかとクルマを進めると、麗しい田園風景の中に忽然と寺院が現れた。

外観


近寄ってみると意外に大きなお寺で、チェディも個性的なデザインである。

チェディ3

チェディ1

クルマ

クルマ外観


仕方がない。

ここで時間をつぶすことにして、本堂に上がり込んだ。

ところがどっこい、そんな軽い気持ちを覆すように、この田舎寺院のご本尊は立派で、9体もの黄金の仏像を従えている。

本尊1


脇には、私の大好きなエメラルド仏陀の姿もあるではないか。
エメラルド


私がご本尊の前で、ついつい二人のレディに「タイ人男女別三拝の仕方」などを講釈したのも、きっと、その場の空気がとても厳粛だったからに違いない。

本堂の脇の別堂のまわりには、チェンマイの寺では珍しいシンハ(獅子)の像がいろんな表情で守りを固めている。

白い飾り

シンハ1

蓮の花


沖縄のシーサーを連想させる造りに、思わず表情がゆるんだ。

     *

 その別堂の玄関脇で、みき子さんが小さなシンハのお守りを見つけた。

お守り


 1個100バーツとちと高いが、ちょうど部屋用のキーホルダーが欲しい思っていたので、グッドラックを招くタンブン(寄進)と割り切って、番頭さんも二人に続き「3名様、お買い上げ!」と相成った次第。

境内を出て、個性的なデザインのチェディを眺める。

チェディ2



寺院で黄金のワニ像というのも珍しい。

ワニ迫力



嬉しかったのは、タイ人にとって重要な誕生日の曜日にまつわる仏陀が、それぞれにキチンと展示してあった点。

月火

水午前午後

木

金土

土日


しかし、根がいい加減な番頭さん、一週間の曜日は7つなのに、どうしていつも8つの仏像が並んでいるのか、不思議でならなかった。

いろんな人に訊いても、まだ明確な応えが出ていなかったのだ。

ところが、翌朝に帰国したみき子さんからメールが入り「もともとはミャンマーからきた風習で、水曜日の守り仏陀は午前と午後の二つあるらしい」という道筋が判明した。

おほ〜っ、持つべき者は麗しく聡明なる友である。

そして、時間つぶしをさせてもらったタダものではないこの田舎寺を出たあとで、私は聡明なる友の導きによって、胸躍る新たな出会いに遭遇するのだった。

ヤッホー!

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★クンター、今日のお薦めです。

th_記念撮影

チェンマイに移ってから、早や2ヶ月以上。

極度の不眠に見舞われながらのサバイバルに向けたもがきが、ようやく形になってきた。

ユニークな旅サイト「Traveloco」さんとの出会いもそのひとつ。

地元で暮らすロコ(ローカルピープル)としてのメリットを活かして、さまざまな旅の手助けをする。

それは、以前の「カレン族生活体験宿番頭」としての仕事にも通じるところがあり、何よりも新しい出会いが待ち受けている。

ゲストの満足した笑顔と、世界各地からの新鮮な風に触れる喜び、また味わえるんだなあ。

th_ツアーリーダーの施shiさん

th_ウイワット中

th_落とし物はイスの下


しみじみと、嬉しい。

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★クンター、今日のお薦めです。
極夜行
角幡 唯介
文藝春秋
2018-02-09

裸の尻

 昨日は午後2時から、2度目の神経痛マッサージ施療を受けた。

 ドアを開けると、婆さんが嬉しそうに笑う。

 私よりもひとつ年上の67歳だそうな。

 残念ながら、今日は爺さんはお出かけ。

 密室の中に、年上の女性と二人きりの怪しい興奮ムードが漂う。

 苦みばしった横顔に深い憂いをたたえた私は、ひそやかにパンツ(ズボンです、ズボン!)を脱いで、ぶかぶかのみっともないタイパンツに着替えた。

 やれやれ。

     *

 先ずは、触診から。

「オホ〜ッ、今日は腱がパンパンだ!」

 婆さんがタイ人独特の感嘆詞を叫びつつ、右足の外側のラインを指でたどる。

 触ってみると確かに、昨日は全体がパンパンという感じだったのだが、今日は右尻のえくぼあたりから発した筋が足首まで一本線となって浮き上がっている。

 これが、昨日のあの痛みと苦しみの代償なのだろうか。

「よおし、今日はこいつを揉みほぐして柔らかくするからね」

 おお、揉みほぐしか、それなら今日は楽だな。

 思った途端に肘攻撃がきた。

「うっ!」
 
 反射的に体が縮まるほどの衝撃だった。

     *

 あとは、悲鳴、絶叫、身悶え、啜り泣き、懇願、哀願、号泣、そして悶絶。

 いくら「ポーレオ(充分)!」と叫んでも、婆さんはその手と足(今日は踏んづけも加わった)をまったく緩めようとはしない。

「よしよし、よしよし、痛いのニットノーイ(ちょびっと)、ディ、ディ(この痛さが良いんだわさ)」

 笑いを含みつつ、わたしのことをガキ扱いしながら、肘、膝、足先でグリグリ、ゴリゴリを繰り返す。

 だから、年上の女は嫌なんだよなあ。

 すぐに姐さん女房気取りになっちゃって。

 この、鬼! 悪魔〜!

 そうののしると、悪魔は人体図を持ち出して、マッサージすべきツボと腱の位置とその役割を滔々と語り出す。

 理屈は合っているし、腱の一部を抑えてマッサージする箇所を浮かび上がらせるという手法にも納得はいくのだ。

 だが、この痛さだけはなんとかならんもんか?

 これじゃあ、金を出して痛めつけてもらいたがるサディストとおんなじではないか。

      *

 あまりにもの痛さに堪え難く、1時間が経たぬうちに身を起こしたのだが、「まだ、終わっちゃいないよ」

 婆さんは強引に私の体を引き倒す。

 な、なにするの! あ、あれ〜っ!

 か細い声をあげて抵抗しているうちに、ようやく婆さんの動きが止まった。

「どれ、足を自分で持ち上げてごらん」

 うん、痛くない。

「さっきは腱の腫れがひどかったけど、今はずいぶんとほぐれてきたよ。触ってごらん」

 確かに、始める前はこりこりと浮き上がっていた硬くて細いラインが、嘘のように消えている。

 起き上がって正座をすると、太腿やその右脇、すねあたりに筋肉痛のような痛みがある。

 だが、それは神経痛の深くていやらしいからみつくような痛みとは違って、ごく表面的なもののように感じられた。

 これが今日の痛みと苦痛の代償なのだろうか。

 あとは、この筋肉痛のような表面的な痛みを取り去っていけばいいのだろうか。

      *

 最初の日に婆さんは、「3日通え」と言ったはずだ。

「じゃあ、明日が最後だね」

「いいや、明日は思い切り痛くした体を休めなさい。そして、明後日にまたおいでよ。たぶん、それで終わりだよ」

 毎日、それなりに結果が出ているから、いちいち言うことに説得力がある。

 明後日か。

 最後は、そこまで痛くはしないだろう。

 楽しみだなあ。

 気がつけば、すでに1時間半が過ぎている。

 だが、婆さんは1時間分の200バーツしか受け取ろうとしない。

 その顔には、「大げさに痛がるあんたの治療が面白い」と書いてあった。

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