チェンマイで悠々として急げ!

カレン族の村から迷い出たクンター(爺様)のよれよれ、とぼとぼ「再生記」

2018年12月

屋根の上のネコ1

 昨日の記事「天国のような奇蹟」で書いた隠れ家の電気代と水道代についての哲学的再考察である。

 タイに関心を寄せる読者の多くは、思わず眉に唾をつけたのではあるまいか。

 なにせ、ここ10数年間タイで暮らしてきた私自身でさえ、自分の頬っぺたをギュッとつねったくらいなのだから。

 信じられないのも、無理はない。

      *

 なにせ、電気代10バーツ、水道代20バーツで総計30バーツなのだからなあ。

 一人の読者が我がFacebookにコメントを寄せてくれたように、これじゃあ、ビール1本も買えやしないのである。

 現に、口の悪い友人の一人などは、「お前さん、記事を面白くする為に話を作っているんじゃないか」などと、やっかみ半分のメールを送りつけてきたくらいなのである。

 しかし、私は決して嘘は申しません。

 以下に、動かぬ証拠を開示すると共に、さらに発覚した驚愕の新事実を明らかにすることとしよう。

     *

 昨日の晩飯どき、大家の姪っ子さんが部屋代の領収書なるものを届けに来てくれた。

 はあ?

 領収証?

 まさか、こんなボロ家で(失礼!)そんなありがたいものを貰えるなんて夢にも思っていなかった私は、ひたすら恐縮した。

 ところが、その麗しき姪っ子様は、さらに私に一歩近づくと、まるで白魚のような指の右手をそっと差し伸べたのである。

 え?

 なに、この唐突なシチュエーション?

 まさか、新たなる誘惑?

     *

 んなこと、あるわきゃないのだが、すっかり逆上した爺様、思わずその手を握りしめようとした。

 そして、ハッと気がついた。

 彼女の紅葉のような(おいおい、白魚じゃなかったのかい)掌の上に、なんと真珠のようにきらめく3枚の1バーツ硬貨を認めたのである。

 はあ?

 混乱した爺様は、訳も分からずに彼女に右手を差し伸べ、茫然としながらその3枚の1バーツ硬貨を掌で受け止めた。
 
 硬貨には、彼女のかすかなぬくもりが感じられた。

 ふわん。

     *

 うっとりするような残り香を漂わせて、麗しき人が名残り惜しげに去ったあとで。

 爺さまは、彼女の残り香が薫る(しつこいなあ)くだんの領収書に、ウットリと眺め入った。

 そして、のけ反った。

 ガ、ガーン!

 そこにはなんと、朝方の衝撃に勝るとも劣らない驚愕の真実が隠されていたのであった。
領収証

 興奮のあまり混乱した話を整理すると、こういうことになる。

 昨日の朝方、大家さんが私に伝えた電気代10バーツは、実はたったの6バーツだったのである。

 そして、20バーツと言った水道代の方は、実は21バーツだったのである。

 従って、部屋代を含めたその合計額は、先進高度数学に基づいて算出すると、実は1,627バーツだったという形而上的な解となるのであるのである。

 皆さん、私の難解な数学理論について来れますかあ?

      *

 さて、朝方に大家さんを訪ねた際、この爺様はすでに1,630バーツを支払い済みだ。

 であるからして、領収書製作担当の姪っ子様は、厳密なるダブルチェックによって精密なる支払額を導き出し、私に対する誠の愛をつらぬくためにも、意を決して3バーツのお釣りを戻しにきてくれたということになる。

 私は人知れず、一筋の涙をそっと流した。

 この無心の愛に支えられた献身に感動せずして、あなたは一体、何に感動するというのだろうか?

 言ってみなさいよ、え?

 どうだ、どうなんだ?

 え?

     *

 ああ、今日はすっかり興奮のし続けで、自分でも何がなんだか分からなくなってきたわいなあ。

 火照った顔を冷ますべく、早朝の冷涼な空気を吸いに外に出ると、屋根の上の野良ネコまでが私を疑わしそうな顔で見つめている。

 しかも、合計3匹である(逃げるとまずいから超望遠を使ったらピンぼけだ)。
屋根の上のネコ2

 本当だってばあ。

 私は嘘は申しません。

 どこかの誰かさんみたいに、領収証の偽造なんて、決してやっておりませんよお。

 だって、ワタシ、タイ語が書けないんだも〜ん。

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シリー
 
 山奥の村を去ってから、ちょうど1ヶ月が過ぎた。

 あっという間に、しかし、実にたくさんの水が橋の下を流れていった。

 まるで、大増水した秋の長良川を、激流に翻弄されながら小さなカヤックで下るような、もみくちゃ、ハチャメチャなトライアルの連続であった。

 やれやれ、ふう〜。

     *

 いくつもの嬉しい再会があった。

 哀し過ぎる別れもあった。

 あれがあり、これがあり、ウロウロ、トボトボしているうちに、いつの間にやら新しい暮らしの形ができあがりつつあるような・・・。

 貧しくとも、解放感に満ちた時間と空間が、あたりには流れ、かつ広がっている。

 まだ、極度な不眠症を引きずってはいるものの、いずれ、

「♪そ〜のうち何とか、な〜るだろう〜♪」(by 植木等)

     *

 さて、サバイバルのためには飯も食わねばならぬし、夜露もしのがねばならぬ。

 そこで、まずは今月も寝場所を確保するために、大家の家を訪ねた。

 先月分の電気代と水道代を確認し、部屋代を払うためである。

 その値段次第では、今後の飯の質も変わってくる。

 ドキドキしながら、声をかけた。

「ああ、クンター、いらっしゃい! ちょっと、待ってね。ええと・・・。
 そうそう、電気代が10バーツ、水道代はちょっと高くて20バーツだね、ごめんよ」

 はあ?

     *

 ちょっと、ちょっと、大家さん!

 いくらなんでも、そりゃあないでしょう。

 あんた、僕より4つも年下でしょ?

 桁を間違えていない、桁を!?

 ちゃんと、老眼鏡のピントを合わせてよね。

 それとも、僕と同じで頭のネジが緩んできたのかい?

     *

 頭の中で喚きながら茫然と佇んでいると、彼女はケロリとしてこう言った。

「うん、合計30バーツに間違いないね。はいはい、ああ、ありがとう。確かに受け取りましたよ」

 部屋代1,600バーツ(1万6,000バーツではありません)も21世紀最大の奇蹟ではあるが、この総計30バーツは、一体なんと呼ぶべきか?

 ビッグバンにも相当する大衝撃であった。

     *

 へいへい、確かにわが部屋にはなんにもありませんよお。

 なにせ、身の回り品だけをまとめて飛び出して来たのだから、ないったら、ない。

 な〜んにも、ありゃしない。

 最初にとりあえず買ったのは、枕と掛け布団とベッドカバーと簡単な食器、石鹸、歯ブラシ等々。
 
 これだって、総計1,000バーツ以下なのである。

 豪華家電品となると、月632バーツのWi-Fiルーター、279バーツで購入した小型扇風機だけだ。

     *

 電気を食うものといえば、この二つとパソコンおよび携帯の充電だけなのである。

 それにしても、これだけ使って、本当に10バーツでいいのかあ?

 水道代は村の値段と同じだが、電気代はなんと村の40分の1。

 うへえ、参ったなあ。

 ここは、天国か?

     *

 ひょっとして、おいら、すでに死んじまったのかなあ?

 頭の中で、ザ・フォーク・クルセダーズが大ヒットさせた迷曲「帰って来たヨッパライ」のワンフレーズが鳴り響く。

「♪オラは死んじまっただ〜♪」

※曲の無料視聴はこちらから。
 https://www.uta-net.com/movie/1240/(コピー&ペーストで検索)

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