チェンマイで悠々として急げ!

カレン族の村から迷い出たクンター(爺様)のよれよれ、とぼとぼ「再生記」

2018年11月

RIMG6672

 睡眠剤をウイスキーで強引に流し込むと強烈な眠気に誘われて、午後9時半にベッドに倒れ込んだ。

 なにせ、昨晩は一睡もできなかったのだ。

 村を離れてから、常に眠りは短かったのだけれど、次第に不眠症の度合いは強まっている。

 このままでいくと、鬱になりかねない。

 祈るような気持ちで、まぶたを閉じた。

     *

 寝汗をかいて目をさますと、まだ午前2時過ぎ。

 5時間足らずは眠ったらしいが、2日間で5時間ではやはり足りない。

 朦朧としながらトイレに立ち、水を飲んで再びふとんに潜り込んだ。

 すると、「クルルル〜」という独特の鳴き声が耳に入った。

「あ、トッケーだ!」

 ここに移って来てから、もう何度か耳にはしていたのだけれど、まだ私の願いは叶えられていない。

    *

 その願いとは、「トッケー・ラッキー7」の成就達成である。

 ベトナムには、トッケーが7回鳴けば幸福が訪れる、という言い伝えがある。

 タイにはその言い伝えはないらしいが、かつてチェンマイの安宿に長逗留している間、トッケーが鳴くたびに「もっと鳴け、頑張って7回鳴いてくれ!」と念じたものだ。

 しかし、6回まで行くことはあっても、ついに7回にまで至ることはなく、「クルルル〜」という情けない声で終わる事がしばしばだった。

 だから、私は幸運に恵まれることなく、今回のようなどん詰まり状態での再出発を余儀なくされることになったのだろう。

 ・・・んなあこたあ、ないか。

    *

「トッケー!トッケー!トッケー!」
 
 部屋の内外のどこかに潜むトッケーが、あの独特の甲高くも力強い声で鳴き始めた。

 彼らが人に姿を見せることは、滅多にない。

 1回、2回、3回、4回・・・。

 「ほれ、頑張れよ、あと3回だ!」

 声に出して祈りを込めると、なんと、トッケーはついに7回目の鳴き声を発した。

「やったあ!」

 だが、その勢いは止まらない。

 さらに、8回、9回、10回、11回。

 そこで力つきたのか、最後に「クウ」というような情けない声を出して、トッケーはぱたりと鳴きやんだ。

     *

 息継ぎでもしたのか、7回目の声もちょっとばかり情けないものではあった。

 しかし、7回は7回である。

 ベッドから跳ね起きて、ガッツポーズをしながらこの稀有な「ラッキー7」を祝福した。

 腹の底から笑いが込み上げてくる。

「アハハハ、アハハ」

 私は、久しぶりに大きな笑い声をあげた。
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 しかし、冷静になってから気になり出したのは、おまけの4回である。
 
 厳密にいえば「7回」ではなく「11回」なのだから、ラッキーセブンには該当しないのではないか。

 勝手にラッキーセブンなんぞと解釈したら、バチが当るのではないか。

 ええい、ここはタイランドだ。

 マイペンラ〜イ!(気にしない、気にしない)

 ベトナムの人々はどう判定するか分からないが、この場合、7回を4回も凌駕した「超ラッキーセブン」ということで、自らに認定証を授与することに決めた。

      *

「おめでとう、クンター!」

 鳴りを潜めたトッケーが、共に喜んでくれているような気がした。
 
 満願成就の記念品は、トッケー自身が念写してこの記事にはめ込んでくれた自らの勇姿であった。

「ありがとう、ラッキー・トッケーくん!」

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★クンター、本日のお薦めです。
極夜行
角幡 唯介
文藝春秋
2018-02-09

ガールフレンド
 
 彼女との出会いは、衝撃的だった。

 私がドアや窓を開け放ってベッドの上で寝転んでいると、いつの間にか蚊除けの網ドアをあけて部屋に忍び込んで込んできたのである。

 そして、ベッドの上にすっと上がり込んで、妖艶な微笑みを浮かべながら私の横に寝そべった・・・。

     *

 おい、おい、おい。

 いくらなんでも、それは大胆過ぎやしないかい。

 すでに何度か顔を合わせたといっても、まだ、ろくに話も交わしていないじゃないか。

 おいらは、体よりも心を優先するタイプなんだ。

 それに、いくらクンター(爺様)だからといっても、まだまだ現役(見栄です、見栄)。

 いつなんどき、狼に変身するかも知れないのだぞお。

     *

 そんな爺様の内心の焦りと狼狽を尻目に、彼女は無邪気な顔で脇に転がっていた計算機を手にとると、嬉々として数字のキーを叩き始めた。

 ソーラー式であるからして、薄暗い部屋の中では数字は表示されない。

 だが、彼女はなにやらタイ語でひとりごとを言いながら、無心になってキーを叩く手を休めない。

 おそらく、ゲームでもやっているような気分になっているのだろうか。

 そして、しばらくすると飽きてしまったのか、ふいと部屋を出て行った。

 ああ、女はいつも気まぐれだあ。

    *

 次に私の部屋に忍び込んで来たとき、彼女の興味は電子辞書に向けられた。

 そして、勝手にいじくり回して表示された英語と日本語訳を眺めると「ああ、きれい、きれい」と言いながら、さらに激しくキーボードを叩き始めた。

 おい、おい、おい。

 計算機はともかく、愛用の電子辞書をぶっ壊されてはたまらない。

「これは仕事用だから、遊んじゃ駄目なんだよ」

 そういうと彼女は素直に頷いて、すっと部屋を出て行った。

    *

 3度目の訪問は、お土産持参だった。

 チョコレートミルクの小さなパックを2個、そしてクッキー数個。

 どうしたのかと思えば、「二人で食べよう」といって床に座り込む。

 ああ、愛らしいなあ。

 もしかして、親友のウイワットが描いてくれた「幸運の女神」(副題:新しい女性との新しい出発)とは、この彼女のことだったのだろうか。

女神と共に


 だが、冷静に考えてみると、こんなシーンを誰かに見られたら、「超・年の差恋愛」、もしくは「変態爺い」などと指弾されかねないぞお。

 いくらタイだからと言って、おそらく60歳を超えるだろう年齢差は死刑に値する(たぶん)。

     *

 とりあえず、彼女の保護者に声をかけておこうか。

 そう思っているところへ、ちょうど電話がかかってきた。

 部屋の外で話し始めると、それを聞きつけたのか、彼女の母親の呼び声が聞こえた。

「こら、こら。クンターの邪魔をしちゃいけないよ。早く戻って、勉強しなさい」

 すると彼女は跳ねるように飛び出してゆき、自分の家の前にあるタイルにノートを広げ、腹這いになって鉛筆でなにやら計算を始めた。

    *

 やれやれ。

 ひと安心して部屋に戻ると、いつの間にか電子辞書のカバーが開いている。

 ははあ、彼女、本当の目的は爺様とのデートなんぞではなく、ミルクとクッキーを餌に、電子辞書遊びを許してもらおうという魂胆だったのかなあ。

     *

 私の新しいガールフレンドの名前は、ノンフォーというらしい。

 何度正しい発音を訊いても、なぜかまともには教えてくれない。

 年齢を訊いても、じらすように知らない素振りだ。

 ふーむ。

 女は、いつも謎に満ちている。

 そして、その時点での私は、以降、私のパソコンに興味を移した彼女に、まるでストーカーのようにつきまとわれ、勝手に触られる(パソコンにですぞ)などの被害にあうなどとは、夢想だにしなかったのだった。

 いやはや。

※昨日の記事で取り上げた新進ピアニストの高木直樹さんは、「チェンマイ・ヒナステラ国際音楽祭コンクール」で第二位の栄誉に輝いた。同時に、昨年に続き2年連続のヒナステラ特別賞を受賞した。

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★クンター、本日のお薦めです。
かわいいチェンマイ案内増補新版
島本 美由紀
パイインターナショナル
2018-03-12

会場入り口

 なんなんだ、これは!?

 天から舞い降りてくるような叙情的なピアノの旋律に全身を包まれながら、不意に涙が溢れ出した。

 別に、具体的な「死」や「別離」を連想したわけではない。

 しかし、その旋律は私自身の深いところに沈んでいた形にならない哀しみを一気に解き放ち、まるで途方に暮れた子供の背中をさするように、とめどもない涙を誘ったのである。

    *

 曲は、フランツ・リストの「詩的で宗教的な調べ」という曲集の第七番「葬送」。

 演奏者は、日本の新進ピアニスト高木直樹さんである。
高木直樹

高木さん2

 会場は、センタンの裏にあるロータスホテル内のバーンロイチャン・ホールだ。

 小ぢんまりとした会場には、最前列に座った私を含めて10数人の観客しかいない。

 私が会場に入ったときには他の観客はまだ誰もおらず、手持ち無沙汰になった私は、会場の窓外に広がるドーイ・ステープの光景にうっとりと眺め入ったくらいだ。
窓からの風景

 なぜなら、ここは「チェンマイ・ヒナステラ国際音楽祭」の一環として行わている若手コンクールの最終決勝の場だからである。
オーナメント

 審査の現場を無料で公開して、観客と一緒に雰囲気を盛り上げていこうという試みらしい。

 だが、この11日から始まった世界的な奏者による連日のコンサートは満員続きの盛況だったというが、無名の若手たちの演奏を朝の9時からわざわざ聴きにいこうという物好きは数少ない。

    *

 本音を言えば、13日の夜に行われた上海フィルハーモニック・オーケストラの「ベートーベン交響曲第七番」を聴きたかった。

 なぜなら、その第二楽章は、亡くなった妻がまだ元気な頃、「俺が先に逝ったら、この曲を葬送の曲にしてくれ」と頼んだほどに、惚れ込んだ曲だったからである。

 だが、私がこの音楽祭に関する情報を『ちゃ〜お』(チェンマイ発の現地情報紙)の紙面から得たのは14日の午後で、すでに手遅れだった。

 17日最終日のコンサートも満員だという。

 そこで、16日に行われる「コンクール最終決勝」で、イキのいい若手の演奏を楽しもうと気持ちを切り換えたのである。

 ここまで残った奏者たちなら、きっと相当にレベルが高いはずだ。
フルート

 最初の演奏は、韓国人男女による「フルートとピアノのためのソナタ」。

 思った通りに、力強く、かつ繊細な旋律が流れだす。

「おお、これは当りだったなあ」

 ニューヨークでのオペラ三昧以来、実に10数年ぶりに生のクラシック演奏に触れた私は、静かな興奮にとらわれていた。

 そして、2番手として登場したのが前述の高木さんだ。
     
      *

 本人の英語による名前と曲名紹介を聞いて、大変失礼ながら「ちょっと頼りないなあ」と思った。

 こうした国際的なコンクールの場では、もっと堂々と、たとえ発音は悪くともハッキリとしゃべることが重要だ。

 ピアノに向かってからも、数秒間、うつむいて祈るような、あるいは集中力を高めるような仕草があった。

 これも気弱そうで、あまり好印象を与えない(むろん、好感を持つ人もいるだろう)。

 ところが、どうだ。

 その数分後に私は、天井を仰いで溢れる涙を必死でこらえ続けていたのである。

      *

 奏者交代の合間にトイレに立って、会場に戻ろうとすると、ちょうど高木さんが会場から出て来たところだった。

 拍手をしながら、彼に歩み寄った。

「素晴らしかった! 泣きました。本当に涙が・・・」

 そう言いかけたところで、次の演奏が始まりそうになった。

 もっと言葉を交わしたかったのだが、咄嗟に「頑張って!」

 それだけ言い残して、会場に戻った。

 すぐに、バンコクからやって来たサクソフォン・カルテットの演奏が始まった。
サクソフォン

 次に、同カルテットの一人がテナー・サックスを吹きまくる。
テナーサックス

 そして、日本人女性二人によるバイオリンとピアノのためのソナタ。
日本人女性

 最後は、マレーシア男性によるバイオリン・コンチェルト。
ブルック

 午前中に、6候補の演奏が終わった。

 時間がなくて、残念ながら午後の部の演奏は聴くことができなかった。

 結果発表と表彰式は、17日の夜のガラコンサートの合間に行われるという。

 現時点で、ホームページによる受賞者発表はまだ行われていないようだ。

 http://www.chiangmai-imf.com/jp/(チェンマイ・ヒナステラ国際音楽祭&コンクール)

     *

 クラシック晩学の私なんぞにできることは、ただひたすら彼の優勝を祈ることしかないのだけれど。

 「頑張って」などというありきたりの言葉しかかけられなかった自身の間抜けさ加減に、呆れるばかりである。

 せめて、カレン語で「オーマチョーパー(幸運を)」と叫ぶべきであった。

 もっとも、その意味は彼にはまったく通じなかっただろうけれど・・・。

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窓からの風景

 新ブログ開設後、あれこれとご迷惑をおかけしてきた「コメント投稿機能」ですが。

 ようやく、簡単に記入・投稿ができる仕様に改善することができました。

 なお、最新記事のすべてが開いたままで表示される「トップページ」には投稿欄が表示されません。

 コメントを投稿される場合は、「最新記事一覧」から対象となる記事を選んで、記事の一番下に表示される「コメント欄」に名前と本文を記入してから、投稿ボタンをクリックしてください。

 やれやれ、ふう〜。

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銀の象

 いやあ、自分でも心底驚いてしまった。

 新ブログ開設から10日も経たぬうちに、「アジア人気ブログランキング」で、なんと1位にランクされてしまったのだ。

 旧ブログのときから応援し続けてくださっている読者、そして新ブログから読み始めてくださっている読者の皆様に、心より感謝申し上げたい。

    *

 もっとも、膨大な数のブロガーが参加している人気ブログランキングの中で、この「アジア(海外生活・情報)」というジャンルは、300人足らずが登録しているきわめて小さなカテゴリーである。

 この上には、約850人が参加している「海外生活情報」、さらには3300人近くが参加している「地域情報(日本を含む)」という大きなカテゴリーが控えている。

 しかも、現在のカテゴリーの中にも多くの人気ブログがあり、今後も上位での抜きつ抜かれつが展開されてゆくことになるだろう。

 現在の急上昇は、いわゆる「お祝儀相場」であり、途端に急降下することも有り得ないわけではない。

    *

 ご存知のように、旧ブログは長い間「タイブログランキング」で上位にランクされ続けてきた。

 そのおかげで読者も増えて、さまざまな交流を体験することができた。

 記事の蓄積は、「『遺された者こそ喰らえ』とトォン師は言ったータイ山岳民族の村で」(晶文社)という著書の出版にもつながっていった。

 現実的な交流の場として、「オムコイ・バンブーハウス」という生活体験宿も開くことになった。

    *

 だが、この愛着あるランキングは、システムの不具合により半ば休止状態に入っている。

 私自身も昨年に病を得てから更新が途絶え勝ちになり、ランキングへの関心はすっかり失くしていた。

 事情があって、宿も閉鎖した。

 そして、著書の舞台になった山奥のカレン族の村からも、やむなく離れることになったのである。
カラバオ
 
 深い喪失感と「何とか生き直さねば」というあがきの中から、わが新ブログはドタバタと生まれた。

 そのすがりつくような想いが、私に再びランキングへの参加を決意させたのである。

 そんなにわか作りの新ブログが、たくさんの読者の皆様の応援のおかげで、小ジャンルとはいえ短期間のうちにトップランクにまで押し上げられた。

 そのことをいま、私は読者の皆様と友に素直に喜びたいと思う。

 ありがとうございました。

 そして、これからも応援クリックをよろしく!

※ブログの不具合が続いて、ご迷惑をおかけしています。メッセージを送信する場合は「メール」という欄に必ずメールアドレスを記入してください。タイトルを書いたり、空白にすると当方からの返信ができません。また、コメント投稿については「手順が大変だ」という報告を受けて、現在見直しにかかっています。メッセージをいただいても返信ができなかった「とみ」さん、ありがとうございました。今朝も2時に目が覚めましたが、めげずに朝の散歩に出かけます。

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