裸の尻

 昨日は午後2時から、2度目の神経痛マッサージ施療を受けた。

 ドアを開けると、婆さんが嬉しそうに笑う。

 私よりもひとつ年上の67歳だそうな。

 残念ながら、今日は爺さんはお出かけ。

 密室の中に、年上の女性と二人きりの怪しい興奮ムードが漂う。

 苦みばしった横顔に深い憂いをたたえた私は、ひそやかにパンツ(ズボンです、ズボン!)を脱いで、ぶかぶかのみっともないタイパンツに着替えた。

 やれやれ。

     *

 先ずは、触診から。

「オホ〜ッ、今日は腱がパンパンだ!」

 婆さんがタイ人独特の感嘆詞を叫びつつ、右足の外側のラインを指でたどる。

 触ってみると確かに、昨日は全体がパンパンという感じだったのだが、今日は右尻のえくぼあたりから発した筋が足首まで一本線となって浮き上がっている。

 これが、昨日のあの痛みと苦しみの代償なのだろうか。

「よおし、今日はこいつを揉みほぐして柔らかくするからね」

 おお、揉みほぐしか、それなら今日は楽だな。

 思った途端に肘攻撃がきた。

「うっ!」
 
 反射的に体が縮まるほどの衝撃だった。

     *

 あとは、悲鳴、絶叫、身悶え、啜り泣き、懇願、哀願、号泣、そして悶絶。

 いくら「ポーレオ(充分)!」と叫んでも、婆さんはその手と足(今日は踏んづけも加わった)をまったく緩めようとはしない。

「よしよし、よしよし、痛いのニットノーイ(ちょびっと)、ディ、ディ(この痛さが良いんだわさ)」

 笑いを含みつつ、わたしのことをガキ扱いしながら、肘、膝、足先でグリグリ、ゴリゴリを繰り返す。

 だから、年上の女は嫌なんだよなあ。

 すぐに姐さん女房気取りになっちゃって。

 この、鬼! 悪魔〜!

 そうののしると、悪魔は人体図を持ち出して、マッサージすべきツボと腱の位置とその役割を滔々と語り出す。

 理屈は合っているし、腱の一部を抑えてマッサージする箇所を浮かび上がらせるという手法にも納得はいくのだ。

 だが、この痛さだけはなんとかならんもんか?

 これじゃあ、金を出して痛めつけてもらいたがるサディストとおんなじではないか。

      *

 あまりにもの痛さに堪え難く、1時間が経たぬうちに身を起こしたのだが、「まだ、終わっちゃいないよ」

 婆さんは強引に私の体を引き倒す。

 な、なにするの! あ、あれ〜っ!

 か細い声をあげて抵抗しているうちに、ようやく婆さんの動きが止まった。

「どれ、足を自分で持ち上げてごらん」

 うん、痛くない。

「さっきは腱の腫れがひどかったけど、今はずいぶんとほぐれてきたよ。触ってごらん」

 確かに、始める前はこりこりと浮き上がっていた硬くて細いラインが、嘘のように消えている。

 起き上がって正座をすると、太腿やその右脇、すねあたりに筋肉痛のような痛みがある。

 だが、それは神経痛の深くていやらしいからみつくような痛みとは違って、ごく表面的なもののように感じられた。

 これが今日の痛みと苦痛の代償なのだろうか。

 あとは、この筋肉痛のような表面的な痛みを取り去っていけばいいのだろうか。

      *

 最初の日に婆さんは、「3日通え」と言ったはずだ。

「じゃあ、明日が最後だね」

「いいや、明日は思い切り痛くした体を休めなさい。そして、明後日にまたおいでよ。たぶん、それで終わりだよ」

 毎日、それなりに結果が出ているから、いちいち言うことに説得力がある。

 明後日か。

 最後は、そこまで痛くはしないだろう。

 楽しみだなあ。

 気がつけば、すでに1時間半が過ぎている。

 だが、婆さんは1時間分の200バーツしか受け取ろうとしない。

 その顔には、「大げさに痛がるあんたの治療が面白い」と書いてあった。

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