th_ど正面

 いやあ、参った。

 昨夜は、睡眠薬ではない別のおいしいお薬を少しばかりたしなんで、午後11時にベッドに入ったのだけれど。

 何度も寝返りと溜め息を繰り返したあげく、零時半になっても眠る事ができない。

 とうとう諦めて起き出し、この記事を書く羽目になってしまったという次第。

     *

 本来なら本を読みたいところだが、村を去るときにいつでも戦闘態勢(?)に入れるよう、小さなデイバッグに詰めたのはたった一冊の文庫本だけだった。

 それも、野口英世の苛烈な生涯を描いた『遠き落日』(渡辺淳二著)2分冊のうち上巻だけという間抜け振り。

 これにはれっきとした理由もあるのだけれど、いま思い返しても腹が煮えくり返ってくるから、詳しくは書かない。

 もっとも、すでに手持ちの蔵書はすべて読み尽くして、再読、再々読、再々再読という状態だったから、さほどの未練はない。

 だが、この爺様、生まれついての活字中毒症状患者であるからして、本のない日常は椎名誠風に言えば「悶え苦しむ地獄の味噌蔵(?)」という症状を呈する。

 ええい、読めなければ、自分で面白い記事を書けばいいではないか!

 このヤケクソ気味の開き直りが、新ブログ開設以来、長めの記事を連日書き続けるエネルギーになっているのかも知れない。

     *

 さて、本題に入ろう。

 一昨日に書いた「天国のような奇蹟」という記事で冒頭を飾り、これまでになかったほどの「いいね」スタンプを頂戴した愛らしいポメラニアンの話題である。

th_愛らしい


 名前はシィリーという。

 あ、その意味は聞き忘れてしまったわいなあ(あとで訊くことにしよう)。

 この犬、実は昨日の記事「ネコも疑う驚愕の新事実」に登場した妙齢の美女の愛人、もとい愛犬なのである。

 愛らしくつぶらな漆黒の瞳。

 食べちゃいたいくらいに綺麗で、小さな小さなピンク色の舌。

 全身を覆う純白の体毛。

 そして、思わず微笑を誘う短めの足。

 初めて見たときには、「生きたぬいぐるみ」かと思うほどにムクムク、コロコロとしたその姿は、決死の大脱走(?)に疲れ果て、ささくれ立った爺様の心を一瞬にしてトロトロにとろけさせてくれたのである。

     *

 駄犬ラッキーを筆頭とするウチの3匹のバカ犬どもとは違って、無駄吠えは一切しない。

 いや、そういえば彼女が吠えたところを見た事がないほどに静かである。

 そして、隣家の阿呆犬どもがキャンキャン、ワンワン吠えたてて喧嘩を始めても、彼女は一切それに関わらず、距離を置いて黙って眺めているだけなのである。

 敷地内からも、滅多に出ることがない。

 用足しと玄関まわりの警備巡回以外にはほとんど敷地内にとどまり、しっかりと自分の領土を守っている。

 おそらく、犬の世界では相当の威厳を漂わせているのだろう。

 隣家の犬や近隣の犬が、敷地内に近づいたり、入って来る隙などはまったくないのである。

     *

 そんな彼女の唯一の欠点が、太り過ぎである。

 主食は市販のドッグフードだそうだが、私はまだ彼女が餌を食べているところを見たことがない。

 豚の骨やスープなど、残り物にも興味を示さない。

 鶏の骨でも、水牛の骨でも、なんでかんでも時間を構わず、ひたすら意地汚く喰らい尽くすウチのバカ犬どもと較べると、月とスッポンである。

 どだい人間の、もとい、犬の格が違うのである。

 それなのに、どうしてこんなに太っているのか?

 愛らし過ぎる顔貌と異なり、その全身を上から俯瞰すると、まるでタレパンダならぬ「タレ狸」の化身のように見えるから、思わず笑ってしまう。

th_タレたぬき


 すでに4歳で、人間で言えばお年頃なのである。

 もうちっと、ダイエットせねばなるまいなあ。

 近所の噂によれば、飼い主に似たのだという説がもっとも有力らしいが、それはプライバシーに触れる個人情報であるからして、論評は避けよう。

     *

 昨日のことだが、そのシィリーがとんでもない天才振りを発揮した。

 朝方、飼い主が短パンのポケットに入れていた1,000バーツ札をどこかに落としてしまったのである。

 家中が大騒ぎになったが、どこにも見つからない。

 捜索に疲れ果て、やむなく諦めかかったちょうどその時。

 飼い主の娘が、シィリーの犬小屋の前に1,000バーツを発見した。

「なあんだ、こんなところに落ちていたのかあ」

 飼い主と家族は、ホッと胸をなでおろして、この騒動は幕をおろそうとした。

     *

 ところが、直後に近所の人が家に駆け込んで来た。

「今さっき、あんたんとこの犬がお札みたいなものをくわえて、トコトコ家の方に走っていったんだけど、あれ、ひょっとして、本物のお札だったんじゃない?」

 ええっ!?

 嘘〜!

 しかも、そのシーンを目撃した近所の人は、他にもいっぱいいるのだそうな。

 ドヒャ〜ッ!

 またもや、大騒ぎになった。

 その1,000バーツ札をよくよく調べてみると、歯形はおろか、傷も汚れも破れた痕も、唾液の形跡すらも一切見つけられなかったという。

 つまり、飼い主がポケットから落としたままの状態で犬小屋の前で発見されたわけである。

 つまりである。

 (ああ、なんだかドキドキしてきたなあ)

 そこのあなた、心の準備はいいですか?

 オホン。

 では、僭越ながら。

 かの有名なポワロ探偵とは異なるピンク色の脳細胞の持ち主であるところのこの爺様探偵が、この事件の謎解きを始めます。

横顔ピンぼけ


 1,000バーツの紛失で、家中みんなが大騒ぎしていたその時刻。

 家まわりの警備巡回の途中でお札についた飼い主の匂いを嗅ぎつけたシィリーは、そこへトコトコと走り寄り。

 歯形や唾液がつかないように慎重に配慮したのかどうかは知らないが・・・。

 舌と唇を使ってすくいあげるように道路に落ちたお札を拾い上げ、そっと唇の間に挟み込み。

 そのまま、まっしぐらに自分の犬小屋まで戻って来た。

 という推理が成り立つわけですなあ。

 いや、あらゆる状況証拠を掻き集め、冷徹に分析すれば、まさしく、それこそが「事件」の真相であったことは間違いないだろう。

    *

 いやあ、それにしてもシィリーの脳力は並外れている。

 天才、と呼んでも過言ではないだろう。

 日本からはるばると届けられた重要な書類を、私たちが留守している間にズダボロに咬みちぎり、咬み裂いたウチのバカ犬ラッキーに、その爪の垢を飲ませたいくらいである。

 よしよし、シィリー。

 ご褒美は何がいい?

 あ、そうだ!

 首輪と引き綱がいいね。

 そうして、太り過ぎ防止のために、この爺様と一緒に朝のウオーキングを楽しもうよ。

 え? 

 アタシは、あの「名犬ラッシー」とは違って頭脳派だから、肉体派の好む下等なエクササイズなんか嫌いだ?

 ウヘッ。

 お前、ますます太るぞお!

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