カオソイ

 ご存知カオソイは、カレー&ココナッツミルクをベースに、黄色い生麺と揚げ麺をミックスして醸し出される複雑かつ玄妙なる味わいの「究極麺」でござ候。

 と、冒頭からいきなり力が入ってしまうほどに大好きなんですなあ、この爺様は。

 いわゆる「チェンマイ名物」なんて呼ばれて、有名店などもあれこれ紹介されているのだけれど。

 これまでに、一度も「これだ!」と納得した覚えはない。
   
     *

 ところがおよそ3年ほど前、かつて暮らしていたオムコイの町に、突如としてがんがんテーブルを叩いて喜びたいほどに美味いカオソイ屋が出現した。

 その絶妙なる味のコンビネーションは、軽薄ライター(若き日のワタクシもそうだった)が適当に書きなぐって紹介する「チェンマイの有名店」なんぞ、吹き飛ばすほどの迫力であったのだったのだった(爺様、興奮すると血圧が・・・)。

 ところが、この「オムコイの無名店」は、1年も経たぬうちに、これまた突如として閉店した。

 おそらく、味付けと骨付き鶏肉に金をかけ過ぎて、採算がとれなくなったのだろう。

 この点、爺様が2年ほどで潰してしまったクイティアオ(タイラーメン)屋の末路とまったく酷似しており、落涙を禁じ得ない。

 ああ、それから幾星霜、このカオソイ好きの爺様とテーブルを叩いて喜びたくなるような美味いカオソイとの衝撃的な邂逅は、ついに果たされる事がなかったのである。
     
     *

 ところが、どうだ。

 理不尽な日常に疲れ果て、山奥の村から逃れ出て、よろよろ、ふらふらと某所に隠れ住み始めた途端。

 それも、わずか3日目にして、しかも拍子抜けするほど、いとも簡単に。

 この衝撃的な邂逅が実現したのには、極度な不眠に悩まされ、眉をしかめながら死に損なっている爺様も、思わず破顔一笑せずにはいられなかった。

 まさか興奮してテーブルをがんがん叩きはしなかったけれど、大げさにも「ああ、生きていてよかった」と心中で叫ばずにはいられなかったのだ。

 人間、バンザイ!

     *

 ふう、ここでようやく本題である。

 要するに、近所の食堂なのである。

 専門店などではなく、麺類もご飯類もすべて扱う大衆メシ屋なのである。

 この掃き溜めのような場所に、とんでもなく美麗な鶴が潜んでいたのである。

 だから、食べ始める前にはなんの期待も抱いてはいなかった。

 小皿にたっぷりと盛られたパッカドン(高菜漬け)とホンデーン(紫ミニ玉ねぎ)の大雑把な刻みに、静かな気迫のようなものを感じただけだ。

     *
 
 スープをひとくち啜って、思わず唸った。

 タイ料理にありがちな不自然な甘みや、とってつけたような辛みが、まったくない。

 深いオレンジ色のスープの底に沈む生麺は、あくまでもまろやかで。

 その上にどさっと鎮座するキツネ色の揚げ麺は、カリカリと軽やかで。

 そこへ、ねっとりとした濃厚練り赤唐辛子をまぶし込み(これ、入れ過ぎると頭から火を噴きますぞ)。

 小皿に盛られた高菜漬けや刻み玉ねぎを、どさっと放り込む。

 最後にマナオ(タイレモン)をぎゅっと絞りかけ。

 添えられた箸とチョーン(アルミ蓮華)で、ぐちゃぐちゃとかき混ぜて。

 あとはモノも言わずに、ズルズル、ワシワシと無心に咀嚼を続ける元番頭さん、もとい、フリーダム爺様なのであった。

     *

 麺と具を八分がた平らげたところで、ふと気がついた。

 そうだ、京都へ行こう!

 じゃなかった、カレー飯にしよう!

 ご飯を5バーツ分注文して、残ったスープの中にばさっと放り込む。

 ぐちゃぐちゃとかき混ぜると、そこに現出したのは。

 日本のカレーライスに勝るとも劣らないはんなりとした味わいの、まさに爺様が求める究極の「タイラーンナー(北タイ)風カレーライス」なのであった。
カレー飯

 ああ、神様、仏様、カオソイ様!

    *

 ハァ、ハァ、ハァ・・・(息切れです)。

 すっかり興奮して書き忘れるところだったが、これがたったの30バーツなのである。

 飯を入れても、35バーツなのである。

 どうだ、どうだ、まいったか!

 かつて暮らしていたあの山奥の村のまずいまずいカオソイですら、40バーツもする物価高騰期なのである。

 それが、この「タイ第二の大都市」と呼ばれる市街地からさほど遠くはない近郊の町において、堂々たる、かつ正しい北タイ価格であるところの30バーツを堅持しているのである。

 無間地獄のごとき21世紀において、この涙ぐましい営業努力に脱帽せざるして、一体、何に脱帽せよというのだ?

 責任者よ、出て来い!

 そして、このカオソイにしっかりと土下座をしなさい!

     *
 
 ふう。

 今日も3時間しか眠れなかったせいか、興奮続きの爺様ではあったけれど。

 わが人生の新しき門出に巡り会った愛しきカオソイのことを紹介することができて、気分は朝陽のごとく爽やかである。

 ふん、ふふん、ふ〜ん♪

 今日の昼飯は、むろん、このカオソイに決まりだ。

     *

 やれやれ。

 この爺様、高血圧症患者にして、なおかつ極度の不眠症でありながら、食欲だけはいやんなっちゃうほど旺盛なんだからなあ。

 まったく、もう・・・。

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