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 睡眠剤をウイスキーで強引に流し込むと強烈な眠気に誘われて、午後9時半にベッドに倒れ込んだ。

 なにせ、昨晩は一睡もできなかったのだ。

 村を離れてから、常に眠りは短かったのだけれど、次第に不眠症の度合いは強まっている。

 このままでいくと、鬱になりかねない。

 祈るような気持ちで、まぶたを閉じた。

     *

 寝汗をかいて目をさますと、まだ午前2時過ぎ。

 5時間足らずは眠ったらしいが、2日間で5時間ではやはり足りない。

 朦朧としながらトイレに立ち、水を飲んで再びふとんに潜り込んだ。

 すると、「クルルル〜」という独特の鳴き声が耳に入った。

「あ、トッケーだ!」

 ここに移って来てから、もう何度か耳にはしていたのだけれど、まだ私の願いは叶えられていない。

    *

 その願いとは、「トッケー・ラッキー7」の成就達成である。

 ベトナムには、トッケーが7回鳴けば幸福が訪れる、という言い伝えがある。

 タイにはその言い伝えはないらしいが、かつてチェンマイの安宿に長逗留している間、トッケーが鳴くたびに「もっと鳴け、頑張って7回鳴いてくれ!」と念じたものだ。

 しかし、6回まで行くことはあっても、ついに7回にまで至ることはなく、「クルルル〜」という情けない声で終わる事がしばしばだった。

 だから、私は幸運に恵まれることなく、今回のようなどん詰まり状態での再出発を余儀なくされることになったのだろう。

 ・・・んなあこたあ、ないか。

    *

「トッケー!トッケー!トッケー!」
 
 部屋の内外のどこかに潜むトッケーが、あの独特の甲高くも力強い声で鳴き始めた。

 彼らが人に姿を見せることは、滅多にない。

 1回、2回、3回、4回・・・。

 「ほれ、頑張れよ、あと3回だ!」

 声に出して祈りを込めると、なんと、トッケーはついに7回目の鳴き声を発した。

「やったあ!」

 だが、その勢いは止まらない。

 さらに、8回、9回、10回、11回。

 そこで力つきたのか、最後に「クウ」というような情けない声を出して、トッケーはぱたりと鳴きやんだ。

     *

 息継ぎでもしたのか、7回目の声もちょっとばかり情けないものではあった。

 しかし、7回は7回である。

 ベッドから跳ね起きて、ガッツポーズをしながらこの稀有な「ラッキー7」を祝福した。

 腹の底から笑いが込み上げてくる。

「アハハハ、アハハ」

 私は、久しぶりに大きな笑い声をあげた。
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 しかし、冷静になってから気になり出したのは、おまけの4回である。
 
 厳密にいえば「7回」ではなく「11回」なのだから、ラッキーセブンには該当しないのではないか。

 勝手にラッキーセブンなんぞと解釈したら、バチが当るのではないか。

 ええい、ここはタイランドだ。

 マイペンラ〜イ!(気にしない、気にしない)

 ベトナムの人々はどう判定するか分からないが、この場合、7回を4回も凌駕した「超ラッキーセブン」ということで、自らに認定証を授与することに決めた。

      *

「おめでとう、クンター!」

 鳴りを潜めたトッケーが、共に喜んでくれているような気がした。
 
 満願成就の記念品は、トッケー自身が念写してこの記事にはめ込んでくれた自らの勇姿であった。

「ありがとう、ラッキー・トッケーくん!」

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角幡 唯介
文藝春秋
2018-02-09